中小企業向け補助金の支援者選びでの注意点!!

支援者選び

中小企業向け補助金の支援者を選ぶ際の注意点!!

中小企業向け補助金とは

補助金は、政府や地方自治体、公益財団法人などの公的機関が、特定の目的や活動を支援するために提供する資金のことです。中小企業向けの補助金で代表的になものには下記があります。

  • 小規模事業者持続化補助
    小規模事業者等の販路開拓や業務効率化の取り組みを支援する補助金
  • ものづくり補助金
    中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する補助金
  • 事業再構築補助金
    思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援する補助金
    ※ただし令和6年度で終了見込み

他にも、IT導入補助金中小企業省力化投資補助金中小企業新事業進出促進事業等もあります。

補助金の申請支援について

申請方法等は公募要領が記載されていますが、これが中々に大変な作業量になっています。事業計画書を必ず作成しないといけないですし、他の書類もかなりの量があります。そのため、中小企業の事業者が独自で申請するのはとても困難であります。

そこで、申請する事業者をサポートするために、補助金の支援者がいます。公的の支援機関は補助金の支援はやらない(できない)ので、民間事業者が支援しています。

※補助金を申請するうえで、外部から支援を受けること自体は問題にはなりません。補助金によっては外部から支援を受けることを勧めている(ようにみえる)ものもあります。私は、単純なミスや勘違い等で申請できなくなることを防ぐためにも、外部から支援を受けた方がよいと考えています。

支援者について

補助金の申請を支援するにあたり特別な資格は必要ありませんので、様々な立場の方々が支援をしています。当然ながら、支援者によって支援の内容、品質、報酬が様々です。実力がある支援者もいれば、能力に劣る支援者もいます。そして、事業者を騙し、または、唆し、不正になるようなことを勧める支援者が存在するのも確かです。

もし、支援者が不正を行ってしまうと申請者はどうなるか?
申請者は法人や事業主として契約していますので、一般人としてより責任は重くなります。申請者もペナルティーを受ける可能性があります。

注意すべきセールス文句

不正になるようなことを勧める支援者を避けるには、申請者自身が注意しなければなりません。しかしながら、補助金の申請が詳しく分からないから支援者に頼むのであって、不正となる行為かどうかを見分けることはとても困難であるとも思います。

見分け方のひとつとして支援者のセールス文句に注目できると思います。そこで、公募要領違反や不正をすると言い換えても良いようなセールス文句を列挙します。

注意レベル(小):対象外経費を補助金の対象に認めさせます

補助金に詳しくない申請者にとっては、そもそも何が対象外の経費であるか分からず、気づかないまま頼んでしまうかもしれません。

補助金ごとに、対象にはできない経費が決まっています。

例えば、小規模事業者持続化補助金では、「交付決定前に発注したものは対象外」「パソコンやタブレット端末は対象外」「キッチンカーは対象外」と定められています。

しかしながら、対象外の経費であっても、表現を変えることで、採択や交付の審査をすり抜けてしまうことはあります。例えば、飲食業でタブレット端末とオーダー管理アプリの購入を「オーダーシステム」と記載して申請すれば通ることがあります。これを悪用して無理矢理通そうとする支援者もいます。

ただし、このようなケースは、実績報告での購入物の詳細確認で発覚し、結局、補助金の対象から外されます

対象外経費は、採択や交付の審査が通ったからといって、補助金の対象になるわけでないので注意が必要です。

注意レベル(中):全ての申請作業を代行します

次のようなセールストークをおっしゃる支援者は要注意です。

・申請者(あなた)は何もすることありません!!

・丸投げOK!!

・全てを代理で申請します!!

一見すると、「楽ができて、とても親切なサービスだ」と捉えてしまいそうですが、補助金の公募要領違反に繋がる可能性が高い行為です。

補助金では「申請者が理解しない内容のまま申請する行為」「申請者が以外が代理で申請する行為」を禁じています。

そのため、支援者に任せっきりだと違反行為になり、申請は取り消しとなります。さらに、悪意(駄目なことだと分かっていて)行っていると、今後、申請を受け付けないというペナルティーを受けることもあります。

申請者が自ら申請していないかどうかなんて見分けが付くのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、電子申請のログでわかるそうです。それに、申請者が内容を理解していない場合、書類の内容や電話での対応に不自然さがあるそうです。

申請に関する全ての作業を支援者に行ってもらうと、採択後であっても、申請が取り消される可能性が高いので注意が必要です。

注意レベル(大):補助金以外にお金が返ってきます

次のようなセールストークをおっしゃる支援者は要注意です。

・補助金以外のキャッシュバックがあります!!

・実質0円で設備投資できます!!

・購入費以上のお金が返ってきます!!

お金が返ってくること(キックバック)についての善し悪しはここでは置いておきます。

支援者がお金を返すためには、補助金の申請で補助金以上のお金を生み出す必要がありますが、このお金を生み出す行為が問題になります。

取引企業と共謀し、実際には存在しない取引(架空取引)や、市場価格より高い金額での取引をすることで、過剰に受け取った分を返還し、かつ、取引金額を水増することで補助金を多く受け取るというやり方をしている可能性があります。

このような取引をするには、書類を偽装する必要があります。書類の偽装は不正行為として申請は取り消しとなります。また、それだけではなく、懲役や罰金に処せられることがあります。

実績報告にて取引の証拠書類を提出することになりますが、架空取引や市場価格より高い金額での取引の書類には不自然さが生じるので、そこから見つかると思われます。

補助金以外にお金を返してもらえるような支援を受けると、申請が取り消されるだけでなく、申請者が罪を負う可能性がありますので、絶対に頼んではいけません。

まとめ

補助金の支援方法には決まり事が無いので、支援者により支援内容、サービス内容が異なっています。

私は、支援者は最低限次の2つを心がけないといけないと考えています。
1.申請者と一緒になって、実現可能な事業計画を策定する
2.不正となる行為を行わない

申請者が支援者の能力を見抜くことは難しいと思いますが、セールス文句等より、不正になることを行いそうな支援者は避けることができると思いますので、本記事を参考にして頂ければ幸いです。

もし、知らずに不正となる行為をしてしまったらどうすれば良いか?
その場合は事務局の指示に従ってください。補助金が支給される前であれば大きな問題にはならないと思います。

投稿者プロフィール

中小企業診断士/ITコーディネータ事務所オフィスキシガミ 岸上智広
中小企業診断士/ITコーディネータ事務所オフィスキシガミ 岸上智広