DX事例を読んでも中小企業がIT化できない理由

DXの波に乗り遅れないように企業のIT化を進めたいと考え、DXの事例探しをしたことがあるのではないでしょうか?そして、ネットでDXの事例を見つけても、(金銭不足や人材不足による理由を抜きにして)自分の会社に適用できそうでないと感じるものばかりではないでしょうか?そのような経営者がDXへのIT戦略を策定できるように本コラムを記載しました。

経済産業省の製造業DX取組事例集

DX事例を読んでも中小企業がIT化できない理由

企業をIT化していく正しいステップを認識していないためだと考えます。

DXを目指すためには、企業独自の目的に合った新しい姿を構想する必要があります。そのヒントになるものをDX事例から得ようとしていると思います。ネットなどで紹介されているDX事例は、現時点における最もIT化が進んだ企業の事例であり、ある程度IT化が進んでいない企業にとっては真似のできない内容になっています。そしてどうやってその企業がIT化を進めたかについてはあまり記載されていないと思います。あなたの会社がその事例ようなDXを目指すために、何をしていけば良いかわからずDXができないと感じるのではないでしょうか?

DXに至るには複数のステップがあるのはご存じでしょうか?
企業をIT化する上で基準となるものです。

あなたの会社のIT化がどの段階かを知り、そしてDXへのステップを一つずつ登ることでDXが実現できます。

DXに至るステップ

DXに至るまでのステップ

下記のようなステップを踏んでDXを目指します。

最初は、デジタル化(デジタイゼーション)
紙などのアナログ情報をデジタル化する

次に、デジタライゼーション
ITを使って会社全体でビジネスのプロセスを変革する

最後に、デジタルトランスフォーメーション(DX)
社外(取引先等)も含めて、ITを使ってビジネスのプロセスを変革し、そして、業界の標準プロセスにする

この基本的なステップを、2つ側面で具体化していく方法を紹介します。IT戦略を策定する際に参考して頂ければと思います。どちらの考え方を選ぶかは好みで良く、どちらも同じ目標にたどり着きます。

IT導入範囲によるステップ

IT導入範囲によるステップは、大きく3段階あります。
ステップ① 部門ごと、あるいは部分的なIT導入
ステップ② 会社全体での仕事のやり方/進め方を最適化にするIT導入
ステップ③ 社外(顧客や取引先など)との繋がりまで含めて最適化するIT導入

ステップ① 部門ごと、あるいは部分的なIT導入

特定の部門や業務に適応したITツール、ITシステムを導入する段階です。
作業時間短縮、作業ミス防止、ペーパーレス化などが目的となります。

例えば、Excelを使って紙から電子ファイルへの変更といった単純なデータのデジタル化や、人事システム、経理システム、販売管理システム等の特定業務用のシステムの導入を行うことになります。

業務によってはデータ入力等の作業が増えるので、IT導入に抵抗される従業員も多いです。スモールスタートでじっくり時間を掛けて定着させる必要があります。

ステップ② 会社全体での仕事のやり方/進め方を最適化にするIT導入

会社全体で最適な仕事のやり方、進め方になるように、複数のシステムを連携させる、または、複数部門に跨がるようなシステムを導入する段階です。
経営データの見える化、全社で生産性向上、組織連携強化などが目的となります。

例えば、経営データ(売上、原価等)をリアルタイムに閲覧可能にするための人事、経理、販売管理、生産管理等のシステムの連携、基幹システム(ERP)の導入、製造部門の営業サポート体制の構築のためのデータ共有システムの導入を行うことになります。

ステップ③ 社外(顧客や取引先など)との繋がりまで含めて最適化するIT導入

自社内だけのIT活用に留まらず、社外との商取引や情報共有、サプライチェーンなどの繋がりにもIT導入する段階です。
業界全体での効率化し利益を増やすことで、結果として個々の会社も利益得ることになります。

例えば、商取引の効率化のためにEDI導入、工場間の密な連携にために製造機械の稼働率の共有、配送手続き効率化のためにネットショップと運送業者のダイレクト連携などを行うことになります。

データ利用レベルによるステップ

データ利用レベルによるステップは、大きく3段階あります。
ステップ① 情報を記録する
ステップ② 社内情報ぎ合わせて新たな情報を作り出し判断を下す
ステップ③ 社外情報も含めて情報を新たな情報を作り出し判断を下す

ステップ① 情報を記録する

情報をデジタル化して記録する段階です。
センサーなどを利用して製造機械の稼働率を計測したり、ITツールを活用して1日の売上を記録したりすることで、情報を各々集まることになります。

ステップ② 社内情報ぎ合わせて新たな情報を作り出し判断に使う

社内にある複数の情報を繋ぎ合わせて新たな情報として扱う段階です。
稼働率と故障発生回数の関係を表す情報と製造機械の実稼働率とを合わせて機械の故障タイミングを予測をし部品交換の決定に使ったり、売上と販促キャンペーンの関係を表す情報よりマーケティング戦略を立てたりすることになります。

ステップ③ 社外情報も含めて情報を新たな情報を作り出し判断に使う

取引先や顧客の持つ社内にある複数の情報を繋ぎ合わせて新たな情報として扱う段階です。
協力会社と製造機械の稼働率を共有し製品の納期精度を向上させて受注に繋げたり、製造会社が販売会社の顧客情報を共有することで新製品の開発に繋げたりすることです。

DX事例を活用するために

DXは、天才的な人材が突拍子もないアイデアを思いつくとこで成り立ってきたのではなりません。DXを実現させたどの企業も、DXへのステップで示したような小さな所からスタートし、社内全体に広め、次に社外も巻き込んで成し得てきました。そして、DXへのステップは、真新しいのでは無く古くから企業のIT化、データ利用のステップとして意識されてきたものです。

DXを実現するには、DX事例を読んで、まずは将来の会社の姿を想像することから始めることになります。そして将来の姿に至るように、社内の一部から始め、徐々に広めて行くというステップを考えてみてはどうでしょうか。

弊社は中小企業のIT化を豊富な知識とノウハウでサポートしております。企業のDX,IT化を進めたいと真剣に思われた際には、ぜひご相談してください。
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