中小企業がIT化(デジタル化)する目的は
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中小企業がIT化(デジタル化)する目的は
中小企業白書2021年度版によるとIT化(デジタル化)の効果が出なかったと実感している企業は、効果が出たと実感している企業に比べ、明確な目的が定まっていないことや資金不足を挙げる割合が高い傾向にあることが分かりました。資金不足は企業状況にも左右されるものの、IT化の推進に当たってはまず、組織における目的を明確化させることが重要であると示唆されています。
また、中小企業では(特に従業員数の少ない企業では)、明確な目的を定めることが課題と感じている事実も明らかになっています。
IT化の目的は、企業のビジネスモデル、置かれている外部環境、そして組織体制、IT成熟度などの企業内部の状況などにより様々なものになり、一概にどのような目的が良いのかというものはありません。その中でも中小企業においては、代表的な目的は次のような4つにまとめられるのではないかと思われます。
中小企業のIT化の目的例
- 売上拡大のための、新たな事業や製品、サービスの創出と改善
- 経営力強化のための、経営判断や業務プロセスの効率化
- 生産性向上のための、サプライチェーンの最適化・生産プロセスの改善
- 情報セキュリティ対策の強化・法規制のクリア
IT化する目的の定め方
思いつきだけでIT化する目的を決める方もいらっしゃるかもしれませんが、細部まで明確に定めることは難しいと思います。そうなると、従業員やITベンダーに正確に伝わらずに意図しないITが導入されたり、IT化を進めて行く上でその目的が何だったかを見失うことになります。
企業のIT化の目的を定める上での一般的なプロセスは次のとおりです。
- 中期的な経営ビジョンを設定する
- 経営ビジョンに照らし合わせた経営課題を認識する
- 現状(経営方針、財務情報、業務プロセスなど)を見える化する
- あるべき姿(業務プロセスなど)を検討し、IT活用領域を策定する
時間は掛かると思いますが、しっかりと検討しIT化の目的を定めることが、IT化の成果を上げる為に必要になります。
目的ごとのIT活用策の例
目的ごとのIT活用策の例を次に挙げます。複数のITを活用することで目的を達することになります。
新しい事業・サービスの創出
- 新事業・新サービスのプロモーションのために、自社WEBサイトの構築、SNS(ツイッター、ファイスブック、インスタグラム、LINE)の活用
- 販路拡大やビジネスモデルの変更のために、ECサイト立ち上げ、ECモールへの出店
商品・サービスの質向上
- 開発期間短縮にために、3次元CADの利用
- エラー品チェックの精度向上のために、AIを使った画像解析技術の利用
- 顧客一人一人へのサービスを強化するために、顧客管理システムの利用
- 顧客の安全性強化のために、ICタグによるトレーサビリティの活用
新規顧客の開拓
- 営業活動効率化のために、営業先の情報を共有する顧客管理システムの利用
- グループ一丸で営業活動するために、上司・同僚のスケジュールを確認するグループウェアの利用
- 非対面で顧客と商談するために、商談システムやウェビナーツールの利用
- 新規顧客にプロモーションするために、SEO対策、アフィリエイト広告、SNSの活用
- マーケティング活動を効率化するために、マーケティングオートメーションツールの利用
既存顧客との関係強化
- 過去の対応履歴や、担当者と即連絡が付くようにするために、顧客ごとの情報の管理・蓄積をする顧客管理システムの利用
- 企業ブランド確立による売上拡大のために、自社WEBサイト、SNSの利用
- 会員顧客への情報提供のコスト削減のために、メルマガやLINE公式アカウントの利用
サプライチェーンの最適化
- サプライチェーンを形成する企業間で情報共有するために、データ連係ツールの利用
- サプライチェーン全体の取引を効率化するために、EDIの活用
- サプライチェーン全体の生産を管理するために、生産管理システムの利用
生産プロセスの改善
- 定型的な業務プロセスを自動化するために、RPAツールの利用
- 需要予測や生産計画の立案、工程管理などの生産プロセス全体管理を効率化するために、生産管理システムの利用
経営判断の効率化・高度化
- 営業・販売情報、倉庫・物流情報、経理・財務情報、調達情報などの実績情報の即時フィードバックするために、ERPシステムの利用
- 収集した情報を分析するために、BIツールの利用
固定費の削減
- 人事業務や経理業務の効率化のために、人事システム、経理システムの利用
- 在庫圧縮のために、倉庫管理システム、需要予測システム、生産管理システムの利用
- 物流効率化のために、運送管理システム、配送管理システムの利用
- 調達コスト削減のために、調達価格の情報共有や業務を効率化する購買システムの利用
社内の働き方改革
- 経営情報の共有によりやる気を向上させるために、社内ポータルサイトの利用
- ITリテラシー向上のために、社内教育を効率化するe-ラーニングシステムの利用
情報セキュリティ対策の強化
- 策害によるデータ消失を防止のために、データバックアップ、オンラインストレージの利用
- スマホやタブレットを監視するために、モバイルデバイス管理システムの利用
法規則のクリア
- 消費税対応のために、販売管理システム、会計システムの利用
- インボイス制度対応のために、請求書発行システムの利用
弊社は中小企業のIT化を豊富な知識とノウハウでサポートしております。企業のDX,IT化を進めたいと真剣に思われた際には、ぜひご相談してください。
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