ローカルベンチマーク(ロカベン)を作る前に知ってほしいこと(概要と支援者として感じること)
ローカルベンチマーク(ロカベン)を作る前に知ってほしいこと
目次
ローカルベンチマークとは
ローカルベンチマーク(略称は、ロカベン)とは、企業の経営状態を把握するための「企業の健康診断」を行うツールです。「財務面」と「非財務面」より経営状況をまとめることができます。
- 「財務面」とは、損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)の数値を分析することで分かる経営状況を指します
- 「非財務面」とは、財務面以外の経営状況を指し、商流・業務フローと、4つの視点(①経営者、②事業、③企業を取り巻く環境・関係者、④内部管理体制)を分析することで分かる経営状況を指します
ローカルベンチマークを作った後の利点は?
ローカルベンチマークには次の特徴があります。
- 経営全体を俯瞰できる健康診断機能
- 環境変化への対応状況の確認
- 国のツール、みんなが使える
- 対話のための共通言語
- 施策・補助金などの申請ツールとして推奨
- 資金調達時など、金融機関との対話と情報開示に活用できる
最大の利点は外部関係者(支援機関や金融機関等)との対話として使えることにある思います。ローカルベンチマークは、ほとんどの支援機関や金融機関で認知されており、ローカルベンチマークを使うことで相手にスムーズに企業の情報を伝えることができます。
ローカルベンチマークを作成すれば企業の経営状況を把握することができます。そして、支援機関や金融機関に詳細な経営状況を伝えることで、経営改善への具体的な取り組みを行う際に協力を得ることができます。
ローカルベンチマークの作り方
1.ローカルベンチマークのツールの用意
まずは、ローカルベンチマークを作成するためのツールを用意する必要があります。ツールには、(私の知る限り)3種類あります。
- 経済産業省が提供する「ローカルベンチマークシート」
Excelファイルで作成されたツールです。これを用いるのが、もっともオーソドックスな作り方と思われます。
ダウンロード先ホームページ:ローカルベンチマーク(ロカベン)シート (METI/経済産業省) - ミラサポplus
中小企業庁が提供する中小企業や小規模事業者向けの支援サイト「ミラサポplus」にて、WEBサイト上でローカルベンチマークを作成することができます。
ミラサポplusホームページ:ローカルベンチマーク|経済産業省 中小企業庁 ミラサポplus - 近畿経済産業局が提供する「ローカルベンチマークAct」
Excelファイルで作成されたツールです。経済産業省のローカルベンチマークシートとの違いは、財務面の分析結果を元に次のアクション(Action)に向けたコメントが表示されます。これは、「どのタイミングで、どこに相談すればよいのか分からない」を解消するための追加機能です。
ダウンロード先ホームページ:ローカルベンチマークAct(近畿経済産業局)
2.ローカルベンチマークの作り方
ローカルベンチマークの基本的な作り方については、経済産業省のホームページに、作成ガイドブックや動画での解説が載っています。
経済産業省のホームページこちら:ローカルベンチマーク作成ガイド (METI/経済産業省)
ローカルベンチマークの概要(+支援して感じること)
ローカルベンチマークを作成する課程で、自社の経営状況を深く考えることになり、様々なことに気付くことができます。ローカルベンチマークシートを使えば簡単に経営状況をまとめらえるような印象がありますが、機械的に内容を埋められるものではありません。時には自社の調査を行う必要もありますし、答えがないことを考え出すことも必要です。
この章では、ローカルベンチマークの概要をまとめています。また、私はローカルベンチマークの作成支援をしており、事業者と一緒にローカルベンチマークを作っていますが、その際に感じたことも記載しています。
財務分析
財務分析とは、企業の財務状況を分析することで、経済的な健康状態を評価し、意思決定をサポートするプロセスです。ローカルベンチマークでは3期分の情報を入力する必要があり、6つの指標を自動算出し同業種内で比較し4段階評価をしてくれます。
支援して感じること
基本的には決算書に書かれた金額をそのまま入力するだけではありますが、入力ルールがあります。例えば、受取手形の金額には割引手形を含めた金額にある等。ルールを確認する必要があるので、すこし面倒かもしれません。
また、6つの指標の分析結果を見ても「ふーん、そうなのか」で終わらせてしまいがちです。分析結果を詳しく読み取ると問題や課題に気付くことができるのですが、普段から財務分析をされていない方にとっては気付くのは難しいと思われます。
業務フロー
業務フローとは、業務(仕事や作業)の流れやプロセスを可視化したものです。ローカルベンチマークではどのような業務をどのように実施しているかをまとめるだけでなく、その業務で「自社が工夫している点」、「こだわっている点」、「他社と異なる点」といった差別化ポイントを挙げて頂く必要があります。差別化ポイントがさっと挙げられる業務が「強み」であり活かしていくべきものです。

(ローカルベンチマークより抜粋)
支援して感じること
差別化ポイントは中々出てこない場合が多いです。そもそも標準的な作業をしていて特徴がなかったり、無理矢理挙げても差別化になるようなことではなかったりします。事業者が自らローカルベンチマークを作成する際にこれが書けずに途中で止めてしまうかもしれません。考えても書けないところは書けなくても構わないのです。書けないところが課題になると捉えればよいので。
なお、普段当たり前のように行っている業務は自分たちでその特徴に気づき難いものです。外部の人と話しをすることで、客観的な観点より気付いてもらえることが多々あります。
商流
企業がどのようにして商売を成立させているかを取引関係から把握します。ローカルベンチマークでは、4つの取引関係先をまとめます。相手先の名称や取引内容だけでなく、その取引先と取引している理由(取引できている理由)を挙げて頂く必要があります。
支援して感じること
直接接点のある仕入先、協力先、得意先に関しては、選定理由や選ばれている理由を挙げることはそれほど難しくないと思われます。ただし、エンドユーザに関しては、直接取引してる場合を除き、選ばれている理由を挙げられないことが多いです。なぜ自社の商品・製品が売れているのかをきちんと把握するために調査して頂きたい内容です。
4つの視点
①経営者、②事業、③企業を取り巻く環境・関係者、④内部管理体制の各視点で、3~4項目についてまとめて頂きます。
①経営者では、経営者自身の考えを整理して頂きます。
②事業では、自社の事業が何で収益を上げているのか、それをどのような仕組みで実現しているのかを整理して頂きます。
③企業を取り巻く環境・関係者では、自社の外部環境やステークホルダーについて整理して頂きます。
④内部管理体制では、内部管理体制がどの程度整っているかについて整理して頂きます。

(ローカルベンチマークより抜粋)
支援して感じること
4つの視点に挙げる内容は企業ごとに特色が現れます。財務面(売上はどうだったとか、利益率はどうだったとか)からでは分からない企業の特徴をまとめることができます。ただし、普段は考えてない項目もあるので、全てを書き出すまでに時間が掛かると思われます。しかしながら、経営課題を見つけ出し改善施策を考案するためには重要な経営情報となります。
まとめ(課題と対応策)
財務分析と非財務分析の結果を総合し、現状を認識したうえで、「将来目標」を明らかにして、そのギャップを埋めるための「課題」と課題を解消するための「対応策」をまとめます。
支援して感じること
ローカルベンチマークを作成する目的のひとつが、このまとめ部分を作り出すことだと思います。何かを調べて書き出せるものではなく、自社の将来を自ら考えて書き出すものであるため、とても時間が掛かります。
ローカルベンチマークは作成後が大事
ローカルベンチマークは企業の経営状況をまとめるものであり、作成するだけでは何も解決には結びつきません。洗い出された経営課題を解消するために、行動を起こすことが重要となります。
作成したローカルベンチマークを用いることで、自社内や外部支援者とで課題認識を共有することができ、具体的な行動に繋げる橋渡しとなります。
弊社の経営支援について
弊社は、伴走型経営サポートを行っています。
本コラムにて紹介したローカルベンチマーク等を用いての経営診断を行っています。また、経営課題の解消に向けた取り組みにおいて伴走しての支援を行っています。ローカルベンチマークの作成をご検討しているのであればぜひご利用ください。
下記ボタンより詳細を確認できます。
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