岸和田市の事業者を盛り上げたい~企業のデジタル化(IT導入)のためのIT専門家派遣に補助金が出ます~

岸和田商店街
岸和田駅からみた岸和田商店街

筆者は、大阪府岸和田市出身の中小企業診断士兼ITコーディネータです。中小企業向けにIT経営やシステム導入などの支援を行っています。そんな筆者が生まれ育った岸和田市の事業者を盛り上げたいと思い、地域全体の事業者にとって有益と思われるIT施策を独自に検討しています。

本コラムでは、※2021年4月26日から開始された「第Ⅱ期中小企業デジタル化応援隊事業」を紹介します。
※中小企業の新規登録は、5月24日から始まりました。

「第Ⅱ期中小企業デジタル化応援隊事業」は令和4年2月28日をもって終了しています。岸和田商工会議所にて類似事業「デジタル活用何でも相談」が開始していますので、岸和田市の事業者のためのデジタル化支援事業~デジタル活用なんでも相談~の記事をご確認ください。「デジタル活用何でも相談」は令和5年1月をもって終了しました。

IT専門家の派遣を受けられる制度

中小企業デジタル化応援隊事業が、※2021年4月26日から開始されました。この制度は、全国の中小企業等・小規模事業者のさまざまな経営課題を解決する一助として、デジタル化・IT活用の専門的なサポートを充実させるため、フリーランスや兼業・副業人材等を含めたIT専門家を「第Ⅱ期 中小企業デジタル化応援隊」として選定し、その活動を支援する取り組みです。
※中小企業の新規登録は、5月24日から始まりました。

第Ⅱ期 中小企業デジタル化応援隊事業のホームページ(以下、事業ページと呼ぶ):https://digitalization-support.jp/

中小企業デジタル化応援隊事業の特長

  • 中小企業デジタル化応援隊事業に登録すれば補助を受けることができる
  • デジタル化の課題であればなんでも良い
  • 謝金補助は、最大3,500円/時間(税込)
中小企業デジタル化応援隊事業に登録すれば補助を受けることができる

補助金のように公募による採択制ではなく、中小企業デジタル化応援隊事業に登録すれば、どの企業でも利用することができます。

また、医療法人、社会福祉法人、学校法人、商工会、商工会議所、中小企業団体、組合、連合会、財団法人、社団法人、特定非営利活動法人など(※詳細条件は中小企業デジタル化応援隊事業ホームページ等でご確認ください)も利用することができます。

中小企業の登録の流れ
①事業についての認知・理解(事業ホームページなど)
②支援先企業としての登録
 事業ホームページから登録システムにアクセスし、登録を行う
 <主な登録事項>
  ①利用規約への同意
  ②登録申請情報の記入
~事務局作業1~3営業日~
③「中小企業登録完了と相談案件登録のお願い/直接提案依頼のお願い」メール受信 → 中小企業登録完了
事業ホームページのマイページへのログイン可能

デジタル化の課題であればどんなものでも良い

中小企業デジタル化応援隊事業では、デジタル化の課題であればほとんどの案件で利用できます。
対象となる業務例:
・デジタル化課題の分析・把握・検討​
・IT導入に向けた支援(例:テレワーク、Web会議、ECサイト、キャッシュレス決済、セキュリティ強化 等)
・IT導入補助金等のデジタル関連の公的支援に関する相談
※幅広いデジタル化関連のコンサルティングが対象

注意:以下の案件は補助されません。
・ITツール利用料やソフトウェア購入費
・※コンテンツ制作やデザイン作成等の請負契約
※「ホームページを作ってください」、「見栄えの良いデザインを作成してください」のようなIT専門家に何かを作成させる業務は対象外だと思われます。

謝金補助は、最大3,500円/時間(税込)

IT専門家の時間単価は、企業とIT専門家の契約により(自由に)決めることになります。補助対象は、謝礼金の○パーセントとなるのではなく、支援提供を行ったIT専門家に対して最大3,500円/時間(税込)が補助されます。ただし、企業側の実費負担が最低500円/時間(税込)以上である必要があります。

謝金計算が少しややこしいので下記に例を示します。
例1:IT専門家に対して、4,000円/時間で契約を締結した場合の時間単位謝金内訳は、
企業側負担 500円/時間
謝金補助  3,500円/時間
となります。
この契約で、40時間作業すれば、謝金は160,000円で内訳は、
企業側負担 500円×40時間 = 20,000円
謝金補助 3,500円×40時間 = 140,000円
となります。

例2:IT専門家に対して、1,000円/時間契約を締結した場合の時間単位謝金内訳は、
企業側負担 500円/時間
謝金補助 500円/時間
となります。
この契約で、40時間作業すれば、謝金は40,000円で内訳は、
企業側負担 500円×40時間 = 20,000円
謝金補助 500円×40時間 = 20,000円
となります。

例3:IT専門家に対して、10,000円/時間契約を締結した場合の時間単位謝金内訳は、
企業側負担 6,500円/時間
謝金補助 3,500円/時間
となります。
この契約で、40時間作業すれば、謝金は400,000円で内訳は、
企業側負担 6,500円×40時間 = 260,000円
謝金補助 3,500円×40時間 = 140,000円
となります。

IT専門家への依頼方法

IT専門家派遣を依頼する際には、事業ホームページのマイページで、相談内容を入力し依頼することになります。依頼方法は2パターンあります。

  • 直接、IT専門家を指名して依頼する
  • 相談内容を公開して、複数のIT専門家から提案をもらいその中から選んで依頼する
直接、IT専門家を指名して依頼する

担当のIT専門家がいる場合など、依頼するIT専門家があらかじめ決まっている場合、そのIT専門家を指名して依頼することができます。

メリット
・信頼できるIT専門家に対応してもらえる

デメリット
・指名できるIT専門家を見つけることが困難である

相談内容を公開して、複数のIT専門家から提案をもらいその中から選んで依頼する

直接依頼するIT専門家がいないは、事業ホームページで相談内容を公開することで登録されている全IT専門家に提案を依頼します。提案したIT専門家の中から最適だと思われるIT専門家を選び依頼することができます。

メリット
・複数の提案から最適なものを選ぶことができる

デメリット
・ある程度知識がないと提案内容の善し悪しが分からず選ぶことが困難である

ちょっとしたコツ

筆者は第Ⅰ期も参加しましたが、その際に感じた企業側へのちょっとしたコツを挙げさせて頂きます。

最適な時間単価

第Ⅰ期での時間単価設定は7~8割ほど4,000円でした。、残りは4,000円より高い単価がほとんどで、4,000円より安い単価はほぼありませんでした。最適と言えるかわかりませんが、4,000円がIT専門家が依頼を受けるギリギリラインだと思われます。

4,000円という単価は、筆者の所感ではIT専門家にとってはかなり安いと思います。(IT企業では新人ランクの単価と同じくらい)
知識も経験も豊富なIT専門家が手を上げるような金額ではないでしょう。このようなことも考慮して単価を決めて頂きたいと思います。

IT専門家の選び方

複数の提案からどのIT専門家を選ぶかは、ある程度知識がないと難しいと思います。一般的には、企業の業界に精通している・導入したいITツールを導入した経験が豊富・単価が安いなど基準に選ぶことがよいと思います。

知識や経験の豊富なIT専門家は単価が高くなりますが、ここでは、低単価で高ランクのIT専門家に依頼する方法を紹介します。ずばり、直接指名できるIT専門家を見つけ、交渉することです。条件次第で単価を安くしてもらえる可能性があります。
筆者の場合で言いますと、次の条件があれば単価が安くても引き受けます。
・成果事例として会社の名前を使う許可を頂ける
・相談内容の確認に時間を多く割いてもらえる
・ある程度まとまった時間(40時間以上)で依頼して頂ける
このように、独自の条件をもっているIT専門家もいると思いますので交渉する余地があります。

中小企業デジタル化応援隊事業はお勧めです

中小企業デジタル化応援隊事業は幅広いデジタル化課題の解消に利用でき、事業に登録できればどの企業でも利用できるとても画期的な支援制度だと思います。また、企業のデジタル化レベルに合わせてIT専門家を選ぶことができるので、全くITを導入していない企業にも、デジタル化をさらに進めたい企業にも利用できる制度であると思います。

筆者も本事業のIT専門家に登録しています。筆者は約20年間、企業内SEとして、企業へのIT導入・システムの維持メンテを行ってきた経験があり、企業がITを導入ために何をすればよいかを知り尽くしています。岸和田及び岸和田近郊の事業者様に積極的に支援したいと思っておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。

弊社ホームページ:オフィスキシガミ | 中小企業診断士/ITコーディネータ事務所

中小企業デジタル化応援隊活用でのご注意点

最近、本補助事業で一部のIT専門家が不正を指南する活動を行っていた事案あったそうです。本事業は他の補助事業に比べて、成果報告が厳しくなく不正を行う余地があったのかもしれません。昨今、厳しい状況ではありますが、そのような甘い誘いに乗ること無く、しっかりと信用できるIT専門家にご依頼するようご注意願います。