中小企業のための経営診断・企業診断方法を紹介します

企業診断とは、「経営技術の専門家が企業の組織形態、経営内容、経理状況、労務管理、技術などについて調査検討し、改善、合理化の勧告や指導をすること。」(ブリタニカ国際大百科事典出典)です。
ちなみに、経営診断と言う言葉は載っていませんでしたが、同じ意味として捉えても問題ないと思います。

企業診断や経営診断を行えば、企業の現状を形式的にまとめることできるので、その報告資料は、今後の成長戦略を立てるうえでの基礎情報として役立ち、また、金融機関や支援機関等から支援を受ける際に企業の状態を共有するのに役立ちます。

では、中小企業では経営診断や企業診断をどうやって行えば良いのでしょうか?
googleやyahoo等で「経営診断」と検索すると、企業診断や経営診断を行っている政府系機関や民間会社がいくつかヒットします。
このコラムでは、診断方法により分類して紹介いたします。

ツール方式

ホームページ上で診断するものや、Excelなどで作成されたツールを使って診断するものなどがあります。
ここでは政府系の無料診断ツールを紹介します。

ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)

経済産業省が提供しているExcelで作られたツールになります。もちろん無料です。企業の経営状態を「財務情報」(6つの指標)と「非財務情報」(4つの視点)から把握します。補助金・助成金によっては、ローカルベンチマークを実施していることを条件としているものもあります。

ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)(METI/経済産業省)

特長
・マニュアルや使い方の動画などが用意されており、経営者自ら診断することができる
・財務分析と非財務分析(商流・業務フロー)を行うことができる
・財務分析は通常、過去との比較を行うのですが、3期分の決算情報を入力することで過去と比較を行える
・財務分析は通常、同業他社との比較を行うのですが、規模別業種別の統計データが収録されており比較を行える
・非財務分析では、何を調べればよいか、どのようなヒアリングをすればよいかがフォーマットとしてまとまっている

欠点(あくまで私の意見です)
・財務分析は複数の指標を組み合わせて多角的に評価することも重要であるが、そこまではできない(専門家による補助が必要)
・非財務分析において、経営者自ら診断すると本人にとって都合の良い結果となり客観性が無くなりあまり役に立たなくなる(専門家による補助が必要)
・経営診断の経験やノウハウがないメンバーだけで行うと意見がまとまらず時間が掛かる可能性がある

無料ながら、財務分析はほぼ自動で行え、非財務分析もポイントとなる箇所が適切なので、とても良いツールだと思います。

経営自己診断システム

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しているWEBサイトです。登録不要かつ無料です。ホームページ上で決算情報を入力するだけで、企業の財務指標値(5項目27指標)を把握し、業界内での位置を把握できるツールです。

本サイトは、googleやyahoo等の検索サイトで「経営自己診断システム」にて検索して確認してください。

特長
・決算情報26項目を入力することで財務分析を行える
・診断結果は、5項目27指標で、貴社の値と業界の値の比較を行える
・資金繰診断ができ、安全性項目の10指標に注目し、貴社値を業界標準やデフォルト(倒産)企業値との比較を行える

欠点(あくまで私の意見です)
・財務分析のみしか行えない
・財務分析は複数の指標を組み合わせて多角的に評価することも重要であるが、そこまではできない(専門家による補助が必要)
・企業にとって最重要データを扱うのに、WEBサイトが暗号化(https)になっておらずセキュリティに不安がある

無料ながら財務分析はほぼ自動で行える点にはとても良いツールだと思います。しかしながら、WEBサイトが暗号化(https)されておらずセキュリティ面で不安があり、(あくまで私個人の意見ですが)お勧めはし辛いです。

訪問・ヒアリング方式

中小企業診断士などのコンサルタント等が貴社を訪問し、ヒアリングに情報を集め診断する方法です。
政府系機関が実施しているもの、民間企業が実施しているものがあります。

政府系機関

政府系機関で経営支援を行っている代表的な機関には次のものがあります。
・独立行政法人 中小企業基盤整備機構
・全国のよろず支援拠点
・商工会・商工会議所

特長
・無料です ※正確には、交通費などの経費を支払う必要があります。また、税金や会費などで賄われているので完全無料ではありません。
・専門家が企業に派遣され、様々な悩みを相談できる
・企業の現状に合わせた解決策を支援してもらえる

欠点(あくまで私の意見です)
・1回2時間程度なので限定した内容しか相談できない
・相談がメインであるため、企業診断・経営診断のように診断結果の報告資料が作成されないこともある

無料で専門家に様々な悩みを相談できるのでとても良い支援だと思います。しかしながら、短い時間なので企業の現状を限定的にしか把握できないといった難点もあります。

民間企業

コンサルティングファームや個人事務所など、経営診断を行っている民間企業は数多くあります。また、人材も中小企業診断士、MBA保持者、公認会計士、税理士、弁護士など、それぞれ得意分野から企業診断・経営診断を行っています。

特長
・有料です
・精微な診断結果が期待できる
・企業の現状に合わせた解決策を支援してもらえる

欠点(あくまで私の意見です)
・診断内容により高額になることもある
・コンサルタントの腕に結果が左右される

有料ですが、時間を掛けて調査することもありとても精微な診断結果が期待できます。ただし、コンサルタントの腕に結果が左右されることも事実です。(手前味噌ですが、中小企業診断士であれば、資格を維持するために常に実践で腕を磨いていますので、外れることはないと思っています。)

ちなみに、無料で診断している民間企業もあります。
なぜ無料でできるかといいますと
・後進を育てるための教育の一環として行い、費用は受講者から受け取っている
・今後、顧問契約を結ぶための営業活動の一環として行っている
・会社の実績に加えてホームページなどでアピールするために行っている
このような事情はありますが、診断自体はきっちり行っているはずなのでそこは安心できると思います。

弊社のビジネス競争力自己診断ワークショップについて

最後に私が行っている経営診断方法「ビジネス競争力自己診断ワークショップ」について紹介させて頂きます。

ヒアリングは
・時間が掛かる
・根掘り葉掘り聞かれ苦痛である
・聞かれたことを答えられず、適当に思いついた良さそうなことを答えてしまう
・なんか良いこと言わないといけない強迫観念に駆られる
と感じたことありませんか?
ヒアリングで診断していくのは結構負担が大きいと思います。

このように感じた場合には「ビジネス競争力自己診断ワークショップ」をお勧めします。

この方法は、ワークショップ形式で企業診断・経営診断します。
ワークショップ形式は、複数人が参加してとことん議論を行い結論を出すミーティングです。ヒアリングとは違い、みんなで意見を出し合え、そして答えを決めることができます。一人で考えても思いつかない場合でも、他者の意見を参考にして考えをまとめることができ、参加者それぞれの立場から、本当の企業の状態を確認し合えます。
そしてワークショップ形式で行う最大のメリットは、参加者全員で議論し合うことで情報を共有でき、全員で合意形成できることにあります。どんな素晴らしい診断報告書ができたとしても、社内で共有できなけば真には役立ちません。その共有を診断の過程で行えます。

特長
・有料ですが、かなり抑えています
・比較的短時間で結果がでます
・ワークショップ形式なので、参加者で活発に意見交換でき、かつ合意形成できます
・主要者での合意形成ができ、解決策実施への行動に移しやすいです

欠点
・ポイントを絞って診断するため、診断範囲・内容が物足りないと感じるかもしれません

私が提供しているサービス「ビジネス競争力自己診断ワークショップ」について詳しい内容は、弊社ホームページのサービス内容をご覧ください。
特に企業のIT化を進めようとしている場合にご利用頂きますと、IT化の方向性を決める際にとても役立つ診断結果になります。

弊社ホームページ:オフィスキシガミ | 中小企業診断士/ITコーディネータ事務所

企業診断・経営診断は、企業の現状を知るのにとても役に立ちます。近年、企業を取り巻く環境が激変しております。定期的に実施しその都度の現状を把握することをお勧めします。