中小企業向け設備投資に使える補助金(採択例紹介有り)

企業を成長させ、また、持続するためには設備投資が必要不可欠です。しかしながら、中小企業にとって設備投資はかなりの負担であり、なるべく支出を抑えたいものと思います。支出を抑えるための解決策の一つとして補助金の活用を紹介します。

設備投資に使える補助金の探し方

どんな補助金があるかは下記サイトで探すことができます。
人気の補助金・給付金 | 経済産業省 中小企業庁

下にスクロールすると、国の支援制度、自治体の支援制度を検索するリンクが見つかります。

ここでは、国の支援制度を選んでみます。

条件絞り込みを選択します。

お困りごと:設備投資
地域:大阪府
支援制度の種類:補助金
を選択して検索すると、25件ヒットしました。

下へスクロールすると個々の補助金を確認することができます。

補助金によって対象となる設備が異なります。購入したい設備に使える補助金を探してみて下さい。

人気の高い4つの補助金

補助金は、対象にできる使用用途が決まっています。その中でも幅広い使用用途に使えるので人気となっている補助金を紹介します。

補助金使用用途
事業再構築補助金新しい事業を始まる際に必要な設備投資
ものづくり補助金「革新的な製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備投資
IT導入補助金経営力の向上・強化を図るためのITツール
小規模事業者持続化補助金販路開拓のための経費

事業再構築補助金

現在の事業とは別の新しい事業を始めるための設備投資を支援してもらえる補助金です。
新しい事業を始めることが必須なので気軽に使えるものではないのですが、他の補助金に比べて補助限度額が高く最高で1億5千万円(※)も補助金が支給されます。※申請する枠や従業員数により補助金の限度が決められています。
2023年1月時点で、第1回から第7回まで行われ5,500者もの事業者が採択されており、既に補助事業が完了した事業者に補助金が支給されています。

新しい事業で使用することが条件になりますが、次の経費が補助金の対象となります。
①建物費
②機械装置・システム構築費
③技術導入費
④専門家経費
⑤運搬費
⑥クラウドサービス利用費
⑦外注費
⑧知的財産権等関連経費
⑨広告宣伝・販売促進費
⑩研修費

公式サイト:事業再構築補助金

ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善を行うための設備投資を支援してもらえる補助金です。
他社とは違う独自の製品・サービス・生産プロセスであることが必要であり、また、事業計画終了時点で賃金の増加目標未達の場合は補助金の返還を求められることもあり、利用する際は慎重に検討しないとなりません。
2023年1月時点で、第1次から第12次まで26,000者もの事業者が交付決定を受けています。

次の経費が補助金の対象となります。
①機械装置・システム構築費
②技術導入費
③専門家経費
④運搬費
⑤クラウドサービス利用費
⑥原材料費
⑦外注費
⑧知的財産権等関連経費
⑨海外旅費
⑩通訳・翻訳費
⑪広告宣伝・販売促進費

公式サイト:ものづくり補助金総合サイト

IT導入補助金

業務効率化・売上アップのために、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を支援してもらえる補助金です。
ITツールに関連する経費にしか使えませんが、比較的使いやすい補助金だと思われます。

大きく2つの枠があり、次の経費が補助金の対象となります。※もう一つ枠がありますが本コラムの設備投資に当てはまらないので除外してます。

通常枠
①ソフトウェア購入費用
②クラウド利用料(1年分)
③導入するソフトウェアに関連するオプション・役務の費用

デジタル化基盤導入枠※会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに補助対象を特化
①ソフトウェア購入費
②クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)
③ハードウェア購入費
④導入関連費

公式サイト:IT導入補助金

小規模事業者持続化補助金

地道な販路開拓等の取組やその取組と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組のための設備投資を支援してもらえる補助金です。
大部分の設備投資が補助対象となり、比較的使いやすい補助金だと思われます。

次の経費が補助金の対象となります。
①機械装置等費
②広報費
③ウェブサイト関連費
④展示会等出展費
⑤旅費
⑥開発費
⑦資料購入費
⑧雑役務費
⑨借料
⑩設備処分費
⑪委託・外注費

公式サイト:
 商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金(一般型)
 商工会地区 小規模事業者持続化補助金(一般型)

採択例紹介

具体的に何を購入できたかを参考にしたいのではないかと思います。私がサポートして採択された案件で何を購入できたかを次に挙げます。

1.レストランにおいて、製造室を新規に建設

補助金の種類:事業再構築補助金
補助内容:冷凍食品の製造販売を新たに始める

購入設備等補助金額
製造室260万円
調理設備一式(急速冷凍装置、真空包装機等)360万円

製造室の新規建設※と、その製造室内の設備一式の購入に補助金が出ました。レストランの人気メニューを冷凍食品にすることでテイクアウトできる商品が増え、新型コロナ禍でも売上を伸ばすことができました。
※第6回目以降の事業再構築補助金では新規建屋は補助対象外になりました。

2.スーパーマーケットにおいて、冷凍設備及びセルフレジの導入

補助金の種類:事業再構築補助金
補助内容:冷凍食品の製造販売を新たに始める

購入設備等補助金額
冷凍設備(プレハブ冷蔵庫等)1000万円
急速冷凍装置550万円
冷凍ショーケース800万円
セミセルフレジ2160万円

冷凍設備、急速冷凍装置、冷凍ショーケース等の冷凍食品を製造・販売するための設備に補助金が出ました。また、セミセルフレジのように新事業と少し関連が薄いものへの投資も認めてもらえました。当時は新型コロナの影響が大きくかつ事業計画書で投資の有効性を証明できたため認められたと思われます。現時点ですと、新型コロナは落ち着いていますので無理かもしれません。今なら原油高などのエネルギー高騰対策や物価高対策への投資であれば新事業に関連が薄くても認められるかもしれません。

3.工務店において、木材加工機器の導入

補助金の種類:小規模事業者持続化補助金
補助内容:生産性向上のために、製造工程の機械化

購入設備等補助金額
木材加工機器200万円

木材の加工をするための機械に補助金が出ました。小規模事業者持続化補助金は「販路開拓等の取組」に対しての支援ですが、このケースは生産性向上の投資のみで補助金が認められています。なぜ認められるかというと、事業計画書には生産性向上が販路開拓等の取組にも繋がることを説明しているからです。どんな投資でも販路開拓に結びつけて考えることができるので、小規模事業者持続化補助金は大抵の設備投資に使えものと思われます。

補助金申請についてアドバイス

補助金利用に際して、次のことで躊躇してしまう事業者様が多くいらっしゃいます。
①申請要件が複雑でよく分からない
②事業計画書を作成する時間が無い
③補助金をもらうと事業計画書に縛られてしまう

それぞれにアドバイスしたいと思います。

①申請要件が複雑でよく分からない
どの補助金でも申請要件がとても複雑になっています。(私見ですが、税金が使われるので曖昧さを極力無くすためや不正を防ぐために複雑になっていると思われます。)
公募毎に内容が変わることもしばしばあり、事業者様が全てを把握するのは難しいと思います。そのため、支援機関にサポートしてもらうことを強く進めます。
商工会議所や商工会、地域のよろず支援拠点等であれば無料で相談してもらえます。

②事業計画書を作成する時間が無い
事業計画書の作成するには、
・事業計画そのもの(事業の概要や目的、事業内容、ターゲットとなる顧客層等)を考える
・事業計画を文章でまとめる
ことが必要になります。
日々の業務の合間に事業計画書を作成することはたいへん困難だと思います。そのため、支援事業者にサポートしてもらうことを強く進めます。
公的機関では事業計画書の作成においてはアドバイス程度しかしてもらえませんが、認定支援機関であれば費用は掛りますが作成の手伝いをしてくれますので事業者様の負担を大幅に軽減することができます。また、事業再構築補助金は認定支援機関による確認が必須であり、ものづくり補助金では認定支援機関の利用を推奨しています。

③補助金をもらうと事業計画書に縛られてしまう
環境の変化等により事業計画通りに進められないことは多々あり、事業計画を変更しても問題ありません。ただし、一部計画通りに行わないと補助金の返還を求められるものもありますので注意が必要です。
そもそも売上を伸ばし利益を増やす事業計画にしているはずなので、事業計画を守られないことは避けたいところです。認定支援機関に事業実施の伴走サポートを依頼するのもひとつの解決策だと思われます。

補助金申請のサポートは認定支援機関にお任せを

弊社は、認定経営革新等支援機関(認定支援機関)に登録しています。補助金申請でサポートが必要なときにはお問い合わせください。補助金サポートのプロフェッショナルである中小企業診断士が対応させて頂きます。