中小企業の社内コミュニケーション活性化~ビジネスチャットツール~

経営者に社内コミュニケーションはどのようにしているか尋ねると、連絡はメールや電話、共有事項は食堂や会議室の掲示板に張り出す等の回答はよくありますが、ビジネスチャットという回答は少なく使用している中小企業はまだまだ少ないように感じています。
ビジネスチャットツールは、コミュニケーションに特化しているツールということもあり簡単、気軽に使えるので、社内コミュニケーションに課題がある企業に改善施策として導入を勧めることが多々あります。

本コラムでは、私が感じているビジネスチャットの良さや使い方をまとめています。

社内コミュニケーション活性化の必要性

社内コミュニケーションが活性化すると、企業にとって様々なメリットを得られます。

1.チームワークの強化

社員間の信頼関係や理解が深まり、チームワークが強化されます。
組織内に人間関係の悪さが生じてしまうと、経営者にとって最も悩まされる問題の一つになるのではないでしょうか。試行錯誤を重ね長い期間を費やし、じっくりと対応していかないと解決しないものになります。かといって放置すると会社の運営自体に影響しかねません。そうならないようにするためにも日頃からコミュニケーションを取りやすい環境を整えておくことが重要になります。

2.情報・ナレッジ共有の活性化

情報・ナレッジ共有が活発に行われるように、作業効率の向上が見込めます。
情報・ナレッジの共有は、経営者にとって最も実施したいことの一つではないでしょうか。どんなにすばらしい情報・ナレッジを蓄えていても使われないと効果は半減致します。情報・ナレッジを最大限に有効活用するためはできるだけ多くの社員間で共有する必要があり、共有するための基礎となる手法が社内コミュニケーションになるはずです。

その他にも様々なメリットがあります。組織の雰囲気が良くなって生産性が向上する、離職率が下がるといった間接的なものも期待できます。

社内コミュニケーションを活性化させるためには

社内コミュニケーションを活性化させる施策には次のものがあります。

1.コミュニケーションの手段を増やす

コミュニケーションを取るための手段を増やすことで活性化を促せます。
電話、メール、ビジネスチャット、オンライン会議システム等を導入することで、対面での会話だけで無く、距離や場面に合わせたコミュニケーションを容易にすることができます。また、談話室を設けて場所を用意したり、交流イベントを行ったり、コミュニケーションを取りやすい環境を作ることも有効です。

2.コミュニケーションの意識を向上させる

社員にコミュニケーションの大切さを気付いてもらい、コミュニケーションに対する意識を高めてもらうことが重要です。社員同士が交流する機会を作り実体験してもらう、セミナーや教育を行う、(事務的ですが)コミュニケーションに関する方針や基準、ルールを明確にし社員に対して周知する等で、社内コミュニケーションに対する意識を高めることができます。

ビジネスチャットツール

コミュニケーションを対面での会話、またメールや電話で行っている場合は、ビジネスチャットツールの導入をお勧めします。

ビジネスチャットツールは、文字によりリアルタイムでの会話するためのツール(アプリやソフトウェア)であり、それ以外にも、音声通話、ビデオ通話の機能を兼ね揃えています。対面(ビデオ通話)、電話、メールを一つのツールで実現できます。

ビジネスチャットツールのメリット

1.簡単に伝えたいことを送ることができる

PC、スマホ、タブレットを持っていれば、場所が離れていてもコミュニケーションがとれ、操作も簡単です。また、特にメールに比べるとルール(暗黙のルールやマナーも含む)を少なくできることも特徴の一つです。
例えば、形式張った文章にする必要無く、本文に相手の名前(○○様とか)を記入したり、挨拶文(いつもお世話になっておりますとか)を記載することが必要無いため、文字を記入して送信するまでの時間がかなり短縮されるはずです。もし誤字があったとしても送信後でも修正が可能ですので、メールよりも気持ちを楽にして送信することができます。
他にも、過去に送信した内容が表示されているので、相手の送信内容を転記する必要がありません。メールだとやり取りの内容を永遠と転記し長い本文になってしまうことも多々ありますがそのようなことを防げます。

2.同時に多人数とコミュニケーションがとれる

複数人でリアルタイムに文字によるコミュニケーションができます。グループ間で会話を共有したり、一括して情報を配信することも行えてとても便利です。

3.音声通話やビデオ通話が簡単に使える

ビジネスチャットツールに登録されていれば、電話番号を知らなくても(逆に、電話番号を知らせることなく)音声通話ができます。データ通信なので電話より通話料金を減らせるかもしれません。また、ビデオ通話も簡単に使えます。特にスマホであれば備え付けのカメラ、マイクが使えるので新たな装置購入も不要です。

ビジネスチャットツールの普及状況

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査報告書2022」によると、45.6%の企業で導入済みとなっています。

ビジネスチャットツールの使い方

操作方法はツールにより異なりますので、各販売会社にお確かめください。

ビジネスチャットツールは、主に次のように使用することができます。

1.社員全員への一斉通知

社員全員を登録したグループを作り、社員全員で共有する情報を送信します。
社員全員で会話するということはほとんど無いので、情報の通知に使うことが多いです。

2.部門内での一斉通知

部門の社員のみを登録したグループを作り、部門内で共有する情報を送信します。
少人数であれば会話も行うと思いますが、情報の通知に使うことが多いです。

3.プロジェクト・特定グループ内でのコミュニケーション

プロジェクトのメンバーや、仕事の近しい社員同士でグループを作り、共有する情報を送信します。
社員同士が情報を発信し、また発信された情報に反応するので、コミュニケーションの頻繁が増えます。

4.個人同士のコミュニケーション

個人同士の連絡に使えます。離れた場所でもコミュニケーションがとれ、短文でも気兼ねなく送信することができるので、コミュニケーションの頻繁が増えます。

気を付けること

ビジネスチャットツールを使えば、情報やナレッジが蓄積されると思っているのであれば気を付けて下さい。
ビジネスチャットツールは、文字や写真を送信するので情報やナレッジが記録されてはいくのですが、ほとんどの場合、溜まった情報やナレッジから必要な情報を取り出すことが困難になります。コミュニケーションが活発になればなるほど情報が多くなり埋もれてしまいます。必要な情報を見つけ出して使うことができないと、いくら情報やナレッジが蓄積されても役立つことはありません。
ビジネスチャットツールは、社内コミュニケーションを活性化させる一つの手段として捉え、情報やナレッジの蓄積にはナレッジ管理ツールと連携する等の別手段で考えることをお勧めします。

弊社は、アプリ・ソフトウェアの導入自体の支援だけで無く、デジタル化で経営課題をどのように解決していくかの計画立案や運用改善の支援も行っています。企業のデジタル化に課題があり解決させたい場合には、弊社が支援致します。お気軽にお問い合わせください。

弊社は、ビジネスチャットツールの販売会社と関係があるわけでは無いので、公平な観点でビジネスチャットツールの導入効果を評価することができます