経営課題を見つけるために必要な作業~問題を整理する方法~
経営課題を見つけるために必要な作業~問題を整理する方法~
目次
経営課題とは
企業は市場環境や競合環境の変化により、様々な問題に直面することがあります。例えば、売上減少や利益低下、コスト増加、市場シェアの低下等が挙げられます。経営課題とは、これら様々な問題を解決し理想としている姿(経営ビジョン)へ近づくためにやるべきことです。
では、中小企業ではどのような経営課題が重要であると考えられているかというと、2020年版中小企業白書では人材に関する課題の割合が最も大きく、次いで営業・販路開拓に関する課題が大きくなっています。
参考:中小企業庁:2020年版「小規模企業白書」 第3部第2章第2節 課題解決に向けた経営相談
経営課題を解決するためには、市場調査や戦略の見直し、コスト削減、人材の獲得や育成、技術革新やイノベーション等の様々な対策が考えられます。
問題と課題の違い
「問題」と「課題」、似たような言葉ですがビジネスにおける意味はかなり違いがあります。下記に違いを並べてみました。
問題 | 課題 | |
---|---|---|
Weblio辞書 | 対応や解決を迫られている事柄 | 解決するべき問題のこと |
ビジネスでの意味 | 理想と現実のギャップ | 理想と現状とのギャップを埋めるためにやるべきこと |
英単語 | problem | task, subject, theme |
よく使われる表現 | ~が無い、~が不足している、~ができていない | ~の向上させる、~を増やす、~を行う |
まとめますと「問題」は状態そのものであり、「課題」は問題を解決させるための手段となります。
簡単な例で説明すると、お店を経営しており、目標を1日来客100人としたところ、現実には50人しか来ない場合には、
問題:1日の来客が50人足らない
課題:集客力を向上させる
となります。
課題より先に問題を見つける
ビジネスにおいては、問題より課題を聞かれることが多いです。例えば、各種補助金の事業計画書には課題を記載するように指示されていますが、問題の記載は指示されていない場合が多いです。
しかしながら、前章で課題は問題を解決させるため手段であると述べたとおり、課題を見つけるためには、まずは問題を見つける必要があります。逆にいうと、問題を見つけることができてはじめて、課題を決めることができるのです。
そのため、課題を見つける(設定する)ための手順は次のようになります。
- 問題を見つける
- 問題を解決するための手段を考える
問題を見つけるための考え方
自社の問題を見つける際に、何も基準が無いと考えがまとまらないと思います。そこで、問題を見つけるための考え方の一部の例を次に挙げます。
- 経営の上位レベルから下位に向かって考える
経営の問題⇒事業の問題⇒業務の問題 - 範囲を決めて考える
部門ごと(営業部門、経理部門、製造部門等)等 - 生産性(PQCDS)の面から考える
P:Products(生産性)、Q:Quality(品質)、C:Cost(コスト)、D:Delivery(納期)、S:Safety(安全性)
想像しやすい範囲や、観点を決めると問題を見つけやすくなります。
どうしても問題を見つけられない場合には
私は経営診断にて、事業者に「御社の問題は何であるか」を尋ねる機会がよくあるのですが、意外なほど「わかりません」という答えが返ってくることが多いです。
これは「比較する対象(将来の理想像、競合他社)のことを分かっていない」ことが要因ではないかと感じています。比較する対象がなければ、現状で満足し、解決したいと思う事柄を見つけ出すことができないと思われます。
個人であれば問題が無いと思うことは心の平穏に繋がって精神的には良いのですが、企業の場合は異なります。周囲の環境が目まぐるしく変化する中で、問題を認識せず自社だけ現状のまま何もせずにいると生き残ることができなくなります。
問題が見つからないときには、先に自社の将来の理想像を考え、競合他社の動向を調査することを行う必要があります。
見つかった問題の整理方法
見つかった問題には解決方法を検討しなければなりませんが、全ての問題について検討する必要はありません。見つかった問題はそれぞれが関連しているはずです。Aという問題は、Bという問題の引き金となっていたり、その逆で、Cという問題が生じた結果がDという問題だったりします。
そのような問題どうしの関連性を明らかにすることで、重要となる問題を見つけることができます。
問題どうしの関連性は、連関図を用いると分かり易く表現できます。
連関図を作成するには、問題を洗い出して、その問題を「原因」と「結果」関係で結びつけます。具体的なやり方は、ポストイットに1枚に1つの問題を記載し、ホワイトボード等に張り出して隣り合う問題の関係を検討します。そして、何度も位置を張り変えながら完成させます。
連関図が完成すれば、根本となっている問題や、解消することで高い効果が得られる問題といった重要な問題が見つけやすくなります。
外部専門家の活用
自身で問題を見つけられない場合や、問題探しに掛ける時間を短縮したい時には、外部の専門家に頼ることお勧めします。次のような手法を用いて、経営者と一緒に問題を見つけ出しを行います。
- 問い合わせ形式のインタビュー
- 従業員へのアンケート調査
- 現場観測
- 決算書等の書類からの推測
弊社は、中小企業の経営者に寄り添いながら経営課題の解決をサポートする伴走型支援を行っています。事業分析・財務分析の両面より経営を分析し、対話に時間を掛けて経営課題を見つけ出し、課題の解決までを支援しています。
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