中小企業がIT導入を行ってはいけないタイミングとは?~IT導入を失敗しないために~
中小企業がIT導入を行ってはいけないタイミングとは?~IT導入を失敗しないために~
目次
IT導入を行ってはいけないタイミング
企業を維持・発展させるためにはIT導入は必須と言ってもいいぐらい重要なものになりました。どの企業でも程度に差があれど、何かしらのITを導入しているはずです。
しかしながら、IT導入は必ず成功するものではなく失敗することも多くあります。近年では例え導入に失敗しても直ぐに止めることができるクラウドサービスが充実してきました。これにより企業がIT導入にチャレンジするハードルは低くなったと思われます。
IT導入で失敗する原因は多くありますが、私は行ってはいけない状況があると確信しています。
それは、業務が忙しく社内の業務をよく知る人材がIT導入に関わることができないタイミングでIT導入を行うことです。
IT導入には社内人材の活躍が必須になります。特に中小企業の場合は、社内に人材が多くいる訳では無いので、業務が忙しい時には全員に余裕が無いと思います。IT導入に関われる社内の人材が不足すると失敗する可能性が高まりますので、繁忙期にIT導入を行うことは避けるべきです。
企業のデジタル化機運の高まり
中小企業では数年前まで企業のデジタル化に消極的でしたが、新型コロナウィルス感染症をきっかけにその流れが変わってきています。
中小企業庁:2022年版「中小企業白書」によると、デジタル化について「事業方針上の優先順位が高い」としている企業の割合が、2019年時点では9.1%だったのに対し、2021年時点で20.9%と大幅上昇し、感染症収束後においては25.1%が優先順位を高くするとしています。
中小企業庁:2022年版「中小企業白書」 第2節 中小企業におけるデジタル化とデータ利活用
では、なぜ、中小企業でもデジタル化の機運が高まったきたのでしょうか?
私は大きく2つ理由があると考えています。
「必要性に迫られたから」というのが一つの理由だと思います。
通勤できなくなったので、テレワークの必要性に迫られた企業は多かったと思います。テレワークを行うには様々な業務をデジタルしなけばなりませんので、否応なしに進んだと思います。
人が外出しなくなったから、小売業ではECサイトの必要性に迫られ、飲食業ではデリバリーのための受注システムの必要性に迫られたいうことがあると思います。
このままでは駄目だという状況が、デジタル化を積極的に行う推進力になったのは疑う余地はありません。
そして、もう一つ理由は「従業員にデジタル化を行う余裕ができたから」だと思います。
従業員がデジタル化に対応しないと企業のデジタル化は成功しません。中小企業の場合は、通常業務を行いつつデジタルに対応する従業員には余裕がありません。通常業務と企業のデジタル化を並行して実行することはとても困難です。
通常であればデジタル化に費やす労力が足りず、多少なりとも無理を承知で進めるしかありませんが、良くも悪くも新型コロナ禍では個々の業務量が減少したため、デジタル化を行う余裕ができました。そのためデジタル化が進んだと考えられます。
中小企業のデジタル化に取り組む際の課題
企業のデジタル化を推進するには、単にITツールを導入すれば良いというわけはなく、従業員がITツールを使いこなせるようにし、業務を変えていく必要があります。そのためデジタル化の推進は必ずしも順調に進む訳ではありません。
中小企業庁:2021年版「中小企業白書」によると、デジタル化推進に向けた課題としては、「アナログな文化・価値観が定着している」「明確な目的・目標が定まっていない」「組織のITリテラシーが不足している」が上位に挙げられています。
中小企業庁:2021年版「中小企業白書」 第3節 中小企業のデジタル化推進に向けた課題
企業をデジタル化するためには、文化や価値観の変更、経営目的の明確化、人材育成といったデジタルに直接関係しない課題を解消する必要があります。
それらを解消するための施策を実行するには、社内の業務をよく知る人材が必要になります。
ITツールを利用できるようにするためのインストールや初期設定等は外部の人材だけでも可能ですが、社内内部の課題には社内人材が関わらずに解消させることはできません。
IT導入って何をすること
IT導入が企業のデジタル化する上で必須であり、IT導入では大雑把にまとめますと次のようなことを行う必要があります。
- ソフトウェアやクラウドアプリの購入、または、独自システムの開発
- 他のシステムとのデータ連携開発
- 初期データの入力等セットアップ
- 業務マニュアル作成や新業務の研修
IT導入は、ソフトウェアやクラウドアプリが使える状態になれば終わりでは無く、従業員が使いこなして業務に活かせるようになるまで行うまでが作業範囲です。
1~3まではITベンター等の外部人材に任せることもできますが、「4.業務マニュアル作成や新業務の研修」は社内人材で実施する必要があります。
業務が忙しいとIT導入は失敗しやすい
IT導入は、社内人材にとって大きな負担になります。通常の業務を熟しつつ、新しい業務に変えていかなければなりません。そうした背景によりよくボイコット的なことも生じてしまいます。
私は、IT導入プロジェクトで、システム側と業務側の打ち合わせに何度も参加したことがありますが、業務担当が打ち合わせ中に別作業を行っている光景をよく見たことがあります。表面上は、しっかり話し合って進んでいるように見えますが、そういう状況であるほど最終的に失敗します。
そのため、業務が忙しく社内の業務をよく知る人材がIT導入に参画できない場合にはIT導入を実施するべきではないと考えています。
しかしながら、「業務が忙しいから、ITの力で効率化するんだ、その場合はどうすれば良いのか?」とお考えになることがあると思います。
その場合は、まずは社内の業務をよく知る人材の業務を軽くしてから、IT導入に専念してもらうことがもっとも良いやり方だと考えます。業務が忙しいのに軽くするなんて矛盾の含んだ提案に聞こえるかも知れませんが、きちんと業務を調査すれば、他者(外注も含めて)に振り分けることができる業務や、一時的に停止できる業務が見つかるはずです。
特に新規事業を始めるタイミングではIT導入すべき
新規事業を行う時には、成功して忙しくなってからIT導入しようと考えているかもしれません。先に述べたように、忙しくなってからではIT導入が困難になります。
一昔前までは、IT導入にはかなりの金額が初期費用として掛かっていたので、事業が失敗しても止めるに止められないといったことに陥る懸念がありました。現在ではクラウドアプリのように月額使用でいつでも止めることができるものがあり、金銭的なIT導入リスクを軽減するこができます。
新規事業の立ち上げと同時にIT導入も行うことで、忙しくなり効率化できないという問題を避けるができるはずです。
弊社のデジタル化支援について
弊社は、中小企業向けのデジタル化支援を行っています。デジタル化で経営課題をどのように解決していくかの計画立案、アプリ・ソフトウェアの導入支援、システムの運用改善の支援、等の企業のデジタル化、IT化を推進する幅広い支援を行っています。
お気軽にお問い合わせください。
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