中小企業デジタル化の始め方~「IT導入でしたい事」をまとめる~

デジタル化の始め方

中小企業デジタル化の始め方~「IT導入でしたい事」をまとめる~

中小企業のデジタル化を始める際に行う事は?

「ITを使って革新的な仕事をしていたのをテレビで観た」、「CMを見て自社で使えそうなITツールを知った」、「同業者が使っているITツールを同じように使いたい」といった自社のデジタル化を進めたいと思うきっかけは様々です。

では、ITを我が社に導入したいと思った際に、何を行えば良いでしょうか?

まず最初に行うべき事は、ITを導入して何をしたいかを決める事です。

そんなの当たり前だと思われる方もいらっしゃると思いますが、意外とできていないものです。

通常ITの導入は1人では行えません。経営者、現場の担当、そして外部のITベンダー(クラウドアプリ、パッケージソフトを販売する企業や、システムを開発して提供する企業)といった複数の立場の方々が関わってきます。各々が別々のしたい事を要求してしまうとIT導入が失敗に終わってしまいます。

何をしたいかを具体的にまとめる事が重要になり、一番最初に行わなければならない作業です。

IT導入でしたい事をどのようにまとめれば良いか?

実際に「ITを導入して何をしたいか」を考えてみてください。なんとなくとか、感覚的にとか、雰囲気的にとか、そういった内容では思い浮かぶと思います。

しかしながら、そのような抽象的な内容を他人に伝えたところで、どのようにITを導入すれば良いかを共有できる訳ではありません。

IT導入に関わる方々に「したい事」を伝えるためには、きちんと体系立てて要求をまとめる必要があります。

具体的には次の視点順序で要求をまとめることになります。

  • 経営(戦略)の視点で考える
  • 業務の視点で考える
  • IT利用の視点で考える

立場によりITでしたい事は違ってくる

なぜ、視点を変えて考えなければいけないのでしょうか?

企業内ではITに対して、大きく3つの立場の方が関わってきます。

  • 経営者
  • 業務担当
  • システム担当

それぞれでITに対する具体的な「したい事」(要求)が違ってきます。

経営者には会社の経営を改善したいという要求があります。業務担当は作業を改善したいという要求があります。システム担当はシステムの管理・運用を改善したいという要求があります。

例えば、経営者は「売上を拡大させたい」「コストを削減させたい」、業務担当は「計算ミスを無くしたい」「スマートフォンで使いたい」、システム担当は「システムを止めたくない」「管理を軽減したい」等々。

その中には、同じ最終目標にたどり着く要求もありますが、矛盾を含んだ要求もあります。

ITを導入するには要求を矛盾しない形でまとめる必要があります。考え(要求)はあやふやな状態で結論とすることができますが、ITに落とし込むと矛盾が謙虚にあらわれ、ごまかしは利きません

そのためにも、前節で紹介した経営(戦略)、業務、IT利用の視点により要求を考え出し矛盾が無いようにすることが必要となります。

したい事を考えるのは誰か?

ITでしたい事を考えるのは、ITを導入しようと考えている企業の経営者や従業員です。

当たり前では、と思う方もいらっしゃると思いますが、これを外部(ITベンダー等)頼みにしてしまう方も一定数います。

これは、ITでしたい事を考えるには、自社の課題がなんであるかを把握していることとITを導入すれば何ができるかを想像できることが必要になり、外部任せにしてしまうのはITに対する知識が不足しているからだと考えられます

外部の人員では貴社の課題を正しく把握することが困難であるため、一切を任せてしまうと貴社にとってベストなITを導入できない可能性があります。

不足している知識は外部の人員から補完すべきではありますが、主導で考えるのは企業の経営者や従業員であるべきだと思います。

したい事を考える際のおススメのツール

IT導入を行ったことがない企業がいきなり、立場の異なる方々に漏れなく伝えられるような「IT導入でしたい事」を考えるのは難しいと思います。

「IT導入でしたい事」は、会社の業種や規模(売上や組織の大きさ)、会社の置かれている環境、人員のIT能力等々で変わりますので、どこかで見つけたようなサンプルを使って考えても上手くいくとは限りません。

ITの導入を経営者自らが考えなければならないような比較的小規模な企業向けにはなりますが、「したい事」を考える上でおススメできるWEBツールがあります。

中小機構が運営している「IT戦略ナビ」というものです。

ページ移動はこちらから:IT戦略ナビ

このWEBツールを使えば、業種や経営課題等を質問形式で入力するだけで、貴社に必要なIT導入は何かの方向性を導き出してくれます。

用意された事項が最低限しかないので規模が大きい企業にとっては不足しているところもありますが、比較的小規模な企業にとっては十分な内容でまとめられると思います。

要求をまとめた次に行う事は?

経営(戦略)、業務、IT利用の視点で要求をまとめ終えれば次の段階に進みます。

「したい事」(要求)を決めた次には、「したい事を実現するには何が必要なのか」(要件)を考える事を行います。

いわゆる「要件定義」と呼ばれる作業です。

この段階からは、IT導入に関する知識やノウハウが必要になってきます。

中小企業において、自社内でIT導入ができる人材を抱えている企業はほどんど無いと思います。ITベンダーや、専門家の支援を受けながら進めて行く方が良いと思います。

弊社のデジタル化支援について

弊社は、中小企業向けのデジタル化支援を行っています。「IT導入でしたい事」をどう考えれば良いか、どうまとめれば良いかをお手伝いします。

また、デジタル化で経営課題をどのように解決していくかの計画立案、アプリ・ソフトウェアの導入支援、システムの運用改善の支援、等の企業のデジタル化、IT化を推進する幅広い支援を行っています。

お気軽にお問い合わせください。

投稿者プロフィール

中小企業診断士/ITコーディネータ事務所オフィスキシガミ 岸上智広
中小企業診断士/ITコーディネータ事務所オフィスキシガミ 岸上智広