必見!中小企業の製造業向けシステム化ポイント

近年、事業者にとって情報システムは必要不可欠ものとなっています。多種多様なシステムが存在し、様々な経営課題の解消に役立っています。(主なシステム例:法人向けSaaSの比較・検索サイト ボクシルSaaS

そのような状況下、どんなシステムを導入すれば良いかお悩みになる経営者もいらっしゃると思います。本コラムでは中小企業の製造業向けにシステム導入のポイントをまとめました。ご参考になれば幸いです。

中小企業のシステム選びのポイント

ポイント1つ目 経営課題を解消するシステムを導入する

経営課題は事業者により千差万別で、必要となるシステムも事業者により変わってきます。たとえ同業他社で効果があったシステムだからといって同じように効果が得られるとは限りません。場合によって事業者特有の「強み」を潰してしまい大損害を被る可能性もあります。自社の経営状況やIT環境を分析して抱えている課題を明らかにし、課題を解消してくれるシステムを導入しましょう。

ポイント2つ目 費用対効果が良いシステムを導入する

大企業に比べ中小企業は資金に課題があります。そのため安価なシステムを前提としてシステム化を考えてしまうことがあります。安価なシステムは大概、機能が少ない、サポートが無いなので低価格にしており、期待した効果を得られない可能性があります。費用を抑えることもシステム導入における重要な要素ですが、費用対効果を考えて適切な価格のシステムを導入しましょう。

ポイント3つ目 全体像を見据えたシステム導入計画を考える

経営課題を解消するために複数のシステムを導入する場合があります。資金や人材に課題のある中小企業では、1度に複数のシステムを導入するのではなく、段階的にシステム導入を進めることが推奨されます。その際、システム導入を行う範囲だけ見て進めてしまうと、先に導入したシステムと後で導入したシステムのデータ連携が困難になったり、同じ作業をそれぞれのシステムで実行することになったりし、不便さや無駄が生じてしまう可能性があります。そうならないために、システムの全体像を見据え、無駄が生じないシステム導入計画を考えましょう。

製造業が導入すべきシステムのベスト5

必要となるシステムは事業者の抱える経営課題により変わってきます。そのため事業者により導入すべきシステムのランクは変わります。ここでは、どのような製造業でも当てはまり、システム導入の効果が高い確率で得られるであろう順にランクを付けてみました。

1.財務会計システム

財務会計システムとは、財務会計の業務を効率化するシステムです。主に仕訳データをインプットして、財務諸表などの帳票をアウトプットします。

選んだ理由
・財務会計は、システムが最も得意する領域である記録・計算を駆使する業務であるため、作業効率化による作業時間削減の効果を得られる可能性が高い。
・財務会計は、どの会社でも作業にあまり違いはなく、システム導入が比較的容易な業務である。
・財務会計は、会社の強みとなるような業務ではないため、システム導入によって強みを潰してしまう経営リスクが少ない。

どのような企業であっても財務会計は必要な業務であり、専用のソフトウェアやクラウドツールも数多く販売されていますので、最も導入しやすく効果が上がるシステムと考えます。

2.販売管理システム

販売管理システムとは、見積、受注、商品の出荷・納品、請求、入金などの販売に関わる業務を効率化するシステムです。

選んだ理由
・製造業では、最適な生産数を導き出すことが重要であり、販売管理システムを使えば在庫、受注、過去販売実績データを管理でき需要予測に活用できる。
・販売は、事業者により業務内容や業務の流れが異なっており、事業者独自の業務があるとシステム導入が困難になる場合がある。
・販売管理システムが導入されていないと、受注データを必要とする生産管理システムや購買管理システムなどの製造業でよく使用されるシステムのもたらす効果が半減される。

製造業では、欠品や過剰在庫を出さないようにすることが重要で、精度の高い需要予測をすることが必要です。販売管理システムは受注、在庫、過去実績などのデータを管理し、それらのデータが需要予測に役立ちます。

3.生産管理システム

製造プロセスの管理だけでなく、製品の需要や販売計画に基づく生産能力の検討・設定、資材調達、品質、原価、納期などの管理も行うシステムです。

選んだ理由
・生産計画、工程進捗管理、需要予測など様々な生産管理業務を支援し、幅広い業務で作業効率化による作業時間削減の効果を得られる可能性が高い。
・事業者により生産管理に違いがあり、汎用的なシステム(市販パッケージソフト等)をそのまま導入することはまずできない。事業者に併せた対応が必要であり、システム導入の難易度が高い。
・市販パッケージソフトやシステム導入費が比較的高額である。

生産管理システムは、製造業に欠かせないシステムと考えられています。広い範囲の業務を効率化し、原価抑制、品質向上、納期遵守など幅広い恩恵を得られる可能性があります。しかし、システム導入の難易度が高く比較的費用が高くなるため、システム化の範囲や導入方法を慎重に検討する必要があります。

4.購買管理システム

原材料や部品の購入を適切に管理する購買業務を支援するシステムです。

選んだ理由
・製造業では、原材料や部品を最適なタイミングで最適な量を仕入れることが重要であり、購買管理システムを使えば、原材料や部品の在庫データを管理でき、需要予測や生産計画などのデータを取り込むことで最適な仕入れを行うとができる。
・購買業務は、事業者により業務内容や業務の流れが異なっており、事業者独自の業務があるとシステム導入が困難になる場合がある。

原材料や部品の在庫が無ければ生産に支障を生じさせます。また、余剰在庫が多いと倉庫スペースが無くなったり、廃棄による損害が生じてしまいます。購買管理システムを導入すれば最適な仕入れができ、安定した生産や原価抑制に繋がります。

5.企業サイト(ホームページ)

企業サイトとは、自社製品をPRしたり、企業概要を知ってもらうことを目的としたホームページです。

選んだ理由
・自社製品や企業概要を24時間365日アピールすることができる。
・低コストで比較的容易に作成できる。
・目的によっては、手間やコストを掛けなければ効果が上がらず、費用対効果が低い可能性がある。(例えば、販売促進を目的にSEO対策をすると手間やコストが掛かる。)
・載せている情報によっては企業イメージが悪化するリスクがある。

運用によっては手間とコストが掛かったり悪影響を受ける可能性もありますが、メリットの方が大きいのでできる限り作成すべきと考えます。

その他のシステム

製造業に役立つシステムは他にも様々なものがあります。列挙すると切りがないのですが、メジャーなものを次に挙げます。

EDI:受発注・出荷・請求・支払などの各種取引データを通信回線を通じて、企業間でやり取りする電子商取引の仕組みのことです。

顧客管理システム:顧客情報の管理、営業活動の管理、マーケティングなどを支援するシステムです。

勤怠管理システム:社員の出勤・退勤を記録し、管理するシステムです。

見積・請求書・領収書発行システム:見積・請求書・領収書などを発行するシステムです。印刷・封入の手間、タイムラグ、郵送費、資材費、領収書の印紙代など削減できます。

グループウェア:組織内においてスケジュールやタスクの共有、コミュニケーションの円滑化を支援するシステムです。

近年、実に様々な機能を持ったシステムが存在しています。どこからシステム化すれば良いか迷うかもしれません。そこで、専門家の支援を受けるはどうでしょうか。筆者は中小企業のIT導入を支援しており、御社の経営課題解消をお手伝い致します。
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