岸和田市の事業者を盛り上げたい~中小企業共通EDIの勧め~

岸和田城から見た市内

筆者は、大阪府岸和田市出身の中小企業診断士兼ITコーディネータです。中小企業向けにIT経営やシステム導入などの支援を行っています。そんな筆者が生まれ育った岸和田市の事業者を盛り上げたいと思い、地域全体の事業者にとって有益と思われるIT施策を独自に検討しています。

本コラムでは、取引先を含めた業界・サプライチェーンの受発注業務を大幅に効率化できる、国が推奨する「中小企業共通EDI」を紹介したいと思います。

受発注業務どうやっていますか?

発注管理システム等を導入して、発注業務を効率化してきた事業者様。
受注管理システム等を導入して、受注業務を効率化してきた事業者様。

企業間の受発注のやり取りを、FAXで行っていませんか?

発注企業側:デジタル化してある注文データをわざわざ注文書として印刷(アナログ化)
受注企業側:注文書を見ながら手入力(再デジタル化)・・・そして請求書を印刷(アナログ化)

※発注業務と受注業務を合わせて基幹業務、発注管理システムや受注管理システムを合わせて基幹システムと表現します。

このような現状下では、次のような問題を抱えていると思われます。

  • 取引先毎に異なる様式の書類・Faxが溢れかえっている
  • 業務アプリへの入力に手間と時間が掛かるためまとめて事後入力
  • 無駄な二重入力、三重入力、入力ミス、チェックの手間
  • 紙の情報の突合せにより、各種突合・消込作業に膨大な業務負荷

企業内だけを見れば基幹業務が整備され、生産性向上が万全だと思っていても、取引先を含めた業界・サプライチェーンでみた場合、非常に無駄なことを行っています。

EDIを使うとこんなに楽になります

EDIとは、Electronic Data Interchangeの略称であり、企業間の掛け取引を電子的に受発注する仕組みです。

EDIを使えば、異なる企業間で、商取引のためのデータをインターネットを介して標準化された規約を用いて、業務アプリ間で交換することができます。

EDIを使って企業間のやり取りを行えば、業務アプリ上で受発注・決済が完結し、次のようなメリットを得られます。

  • 自動化による業務効率化・リードタイム短縮、ミス削減
  • ペーパーレスの実現
  • 逐次発生する取引データのリアルタイム活用・再利用

使用するEDIによっては、送信データが受信されたか確認(既読確認)ができるものもあり、FAXでは行っている思われる送った後に届いたか電話で確認といった作業も無くなります。

EDIを使うとこで自社だけでなく顧客・仕入先も含めた生産性向上・競争力強化が期待できます。

なんで広まってないのか?

EDIを使うことで多くのメリットを得られますが、中小企業では現状あまり広がっておらず、非効率なFAXを使わないとならない状況です。

広まらない理由は、大きく2つあります。

1つは、コストが高額だからです。EDIを導入するには次のコストが掛かります。
・EDIサーバや専用ソフトの購入費や維持費
・自社業務システムの改修コスト
コストが高額になると、導入を躊躇してしまうのも当然です。

もう1つは、業種業界により仕様がいくつもあるからです。例えば次のような仕様の問題があります。
・発注者毎に異なる仕様
・業種・業界に閉じた仕様
・大手企業取引中心の仕様
仕様がいくつもあるとどうなるか。
それは、A社、B社、C社、D社・・・と取引先ごとに連携するEDIの仕組みが異なり別々のアプリを使わないといけなくなります。取引先ごとに受発注方法が異なってしまうと、積極的な導入はしづらいと思われます。

中小企業共通EDIは中小企業のために開発されたEDIです

国もEDIが広まらないことを懸念しどうにかしようと、中小企業共通EDIが開発されました。

中小企業庁が平成28年度経営力向上・IT基盤整備支援事業(次世代企業間データ連携調査事業)にて、中小企業が利用できる業種業界の垣根を超えたデータ連携の仕組みの開発・実証検証をしています。
導入効果実証にて、受発注企業共に約50%の業務処理時間を削減が確認され、有効性が示されました。

中小企業共通EDIの特長には次のものがあります。

低コストで導入可能

中小企業共通EDIは次の仕組みを提供しています。
・企業間をデータ連携させるためのサービス(共通EDIプロバイダサービス)をクラウドで提供
・共通EDIプロバイダサービスに既存の業務パッケージソフトでも簡単に繋がる仕組みを提供

EDI用に企業がサーバを用意する必要がなく、共通EDIプロバイダサービスと簡単に繋がる仕組みがあるため、比較的低コスト導入可能です。
※費用は提供事業者毎に異なります。

業種業界の垣根を越えた連携

中小企業共通EDIは、次の国際標準に準拠して企業間取引で使用する共通情報項目を定義しています。
・EDIの国際標準である国連CEFACTの共通辞書に準拠

特定の業界に特化せず中小企業取引に必要最小限な情報項目で構成されており、業種業界の垣根を越えた連携が可能です。

全ての企業とEDI取引が可能

中小企業共通EDIは次の機能を備えています。
・共通EDIを利用する全ての企業間でメールの様に多対多でEDIデータを送達する機能

中小企業共通EDIを使用している全ての企業とEDI取引が可能になります。

最後に

中小企業共通EDIは、広まれば広まるほどEDIデータでやり取りできる企業が増え、全企業の受注業務や発注業務が効率化されます。また、EDIを利用できることで取引先として選ばれる可能性もあります。

EDIは近い将来、中小企業にとっても国が推奨しているように備えているのが当たり前になっていきます。
岸和田市の事業者様、いち早くEDIを導入し、企業のIT化、DX化を進めてみてはどうでしょうか。

筆者は、共通 EDI 推進サポータの認定を受けておりサポート致します。
弊社ホームページ:オフィスキシガミ | 中小企業診断士/ITコーディネータ事務所

参考情報掲載先

中小企業共通EDIポータルサイト:https://www.edi.itc.or.jp/

つなぐITコンソーシアム(中小企業共通EDIの普及推進を目的としたITベンダを中心とした組織):https://tsunagu-it.com/cons/

中小企業庁共通EDI紹介ページ:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/gijut/edi.htm