DX事例(製造業のIT導入事例)その2

DXを考えるきっかけとして

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を耳にしませんか?
DXとは、簡潔に述べると「ITを活用し経営を変革させ競争優位を確立すること」になります。
(コラム「DXとは一体何なのか」もご参照ください。)

経営を変革させるようなITには、現在、代表的なものとして、AI、IoT、ビックデータ、VR、ARなどが挙げられます。

しかしながら、これらAI、IoT、ビックデータ、VR、ARを活用して経営を変革させるといっても、何に活用できるか一から考え出すのはとても困難だと思います。そこで、DX事例を参照にして使えそうなものを検討してみてはどうでしょうか。

製造業で近年よく再IT化されている業務

設計のIT化
かなり前からCAD、CAMによってIT化されています。CADで作成した設計データをそのまま加工機器に入力することで設定時間を短縮するなどによく使われています。近年では、2Dから3Dに進化し完成品のイメージを掴みやすくなり、顧客との交渉にも役立っています。

測量のIT化
近年では画像解析能力が高くなり、カメラで写した画像により一瞬で正確な寸法が測れます。

生産管理のIT化
AIの進化により複雑な生産計画を短時間で立てることができます。また、センサーの高性能・低価格化が進み様々な用途で使用され、稼働率を自動で測定したり、製品の進捗を自動で記録することにも使われています。

検査のIT化
近年では画像解析能力とAIによる学習能力が高くなり、カメラで写した画像より不良品を検知することが可能になっています。またAIに学習されることにより不良品検知率を格段に上げることができます。

DX(IT導入)事例

パルプ・紙・紙加工品製造業の企業様の事例

一般的な既製品封筒から、特殊紙やオーダーメイド仕様の封筒・パッケージ類の製造・販売を手掛ける企業様です。

封筒のサイズが多種多様で、1枚の用紙からどのように切り取ればロスが最小になるか複雑な計算を要し熟練技が必要とされていました。そこで、断裁計算システムを導入することにより複雑な計算をシステムで実施し、データを連係できる断裁機を導入することにより計算した結果を人が入力するなく断裁機に設定できるようにしたそうです。
その結果、計算ミスや入力ミスなど人為的ミスの削減、断裁ミスによる原紙ロスを削減、断裁作業時間の短縮、断裁工程の指導時間の短縮が可能になりました。

プラスチック製品製造業の企業様の事例

目薬の容器やキャップ、首曲げボトル、中栓を中心に、医薬品業界向けのプラスチック製品の製造を手掛ける企業様です。

点眼薬容器のキャップの検査を全数目視で行っていましたが、顧客の更なる増産要望に応えるために体制を見直す必要がでてきました。そこで、CCDカメラ搭載の自動検査機を導入したそうです。
その結果、検査業務の効率化、品質向上、生産性拡大に繋がりました。また、専任していた熟練者を他の製品の検査にシフトさせることが可能になりました。

金属製品製造業の企業様の事例

建設資材を中心とした金属加工製造を手掛けている企業様です。

顧客からの要望であった短納期化実現に向けて、現場作業者が自工程以外の進捗状況をリアルタイムに把握できておらず、前後工程との調整も不十分であり、作業効率の低下していました。また、各工程でワーク及び作業指示書が不可欠となるが、各工程の進捗と作業指示書の所在が把握しにくく、後工程への負荷及び納期遅延のリスクがありました。そこで、生産管理システムの導入、電流センサーによる稼働率計測、作業指示書にビーコンを付けることで作業指示書の位置の特定を行ったそうです。
その結果、短納期の実現、従業員作業時間の明確化、進捗管理の見える化が可能になりました。

近年、加工装置、検査装置の性能向上が著しく、特に情報処理能力が格段と上がり精度の高い作業が可能となっています。最新機器を導入し、生み出される様々なデータを活用することが生産性向上に繋がると考えています。