小規模事業者持続化補助金は採択されただけでは補助金は受け取れません(申請時及び実績報告書類提出時のポイント)

小規模事業者持続化補助金は採択されただけでは補助金は受け取れません

小規模事業者持続化補助金は採択されただけでは補助金は受け取れません

採択されれば補助金が貰えると思っている経営者の皆様、とても注意が必要です。採択されても補助金を貰えない可能性があります。

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓の取り組み等を支援するものです。地域により、全国商工会連合が担当しているものと、日本商工会議所が担当しているものがあります。

補助金が支給されるまでの、大まかにスケジュールは次の通りです。

  • 申請
  • 事務局による採択(交付決定通知)
  • 申請した計画通りに補助事業を実施
  • 実績の報告
  • 事務局による実績確認

申請が採択された後も、事業者は、「③申請した計画通りに補助事業を実施」し、「④実績の報告」をを正しい手順、正しい内容で行う必要があり、それを事務局が確認できて初めて補助金が支給されます。

申請した計画を変更する場合には、事前にきちんと変更申請をしないと補助金が支給されない可能性があります。

また、実績の報告おいても、決められた書類を使ってミス無く作成しないとならないし、提出を義務づけられている各種証拠書類(ものを購入した履歴など)をきちんと提出しないと、購入したものが補助金の対象外となってしまう可能性があります。

皆様の税金より補助金は支給され、お役所のお仕事なのであまり優柔は効きません。申請が通っているから、実績報告は多少ミスあっても補助金支給されるだろうと、甘く考えていると痛い目をみるかもしれません。

申請時及び実績報告書類提出時のポイント

申請時に「公募要領」をしっかり読むことで記入ミスや申請資料の漏れを防ぐことができ、通りやすい内容で申請書を作成することが出来ます。さらに、交付決定後の必要作業が記載されている「補助事業の手引き」も申請時点で確認すれば、実績報告時に必要な各種証拠書類の数を抑える内容にて申請書を作ることも可能であります。

しかしながら、「公募要領」(第6版)は32ページ、「補助事業の手引き」(第3版)は58ページもあり、お忙しい経営者の皆様には全て読むには難しいと思います。

そこで、必要な部分をピックアップして読むことになると思います。その際、最低限「公募要領」にある重要説明事項は必ず読み、厳守してください。重要事項には必ず従っていないと申請は通りませんし、通っても補助金は支給されません。

特に、重要説明事項の中で、実績報告書類提出時に間違ってしまったら挽回できない事項を下記に挙げます。(これらを知らずに支給してもらえなかったケースが存在します。)

3.「補助金交付決定通知書」の受領後でないと補助対象となる経費支出等はできません。

「採択通知書」が届いても、「補助金交付決定通知書」到着前の発注・契約・支出行為は、補助対象外となります。
発注日や支払日などの日付は実績報告の中で発注書や領収書などで証明しなければなりません。気付かずミスしてしまうと挽回できません。
※(事業再開枠で)「補助金交付決定通知書」到着前でも対象となるものはありましたが基本的には対象外となります。

4.補助事業の内容等を変更する際には事前の承認が必要です。

変更の承認を受けなければいけないことを知らず、申請時と異なる内容で実績報告をすると対象外になる可能性があります。計画実施前に承認を受けなければならないので実施後では挽回できません。

5.補助金交付決定を受けても、定められた期日までに実績報告書等の提出がないと、補助金は受け取れません。

実績報告書を提出する期日があります。遅れると苦労して申請を通し、きちんと計画通りに実施しても補助金が支給されません。

実績報告においてよくある間違い

私が拝見したことのある実績報告書において、よくある間違いについて挙げたいと思います。

相見積もりの取り忘れ

見積金額が税込100万円以上の場合と、中古品の購入(金額は関係なし)の場合は、複数社の見積もり(相見積もり)が必要です。しかしながら相見積もりを取り忘れて(そもそも知らないで)いるケースが多く見られます。事務局からは必ず提出を求められますので忘れずご用意してください。

逆に必要無いのに相見積もりを取っているケースも見受けられます。機械装置等の新規購入の場合、単価が税込100万円以上で相見積もりが必要となりますので、例えば単価が税込50万円の機械装置を2台購入して合計金額が税込100万円になったとしても相見積もりは必要ありません。必要無い場合は無駄な作業になるので事前に確認しましょう。

また、必要なのに相見積もりがない場合は「選定理由書」を提出することで認めてもらえる場合もあります。この選定理由書には、相見積もりを取得するのが困難だった理由が必要です。勝手知ったる馴染みの業者であるや、過去に丁寧に仕事をしてもらった経験があるという理由では認められないと思われます。
※特に中古品の購入は、選定理由書では認めてもらえず、必ず相見積もりが必要となります。

ホームページ作成の経費区分

ホームページ作成(ECサイト作成も含めて)は、ウェブサイト関連費です。

たまに、申請時にはウェブサイト関連費としているのに、実績報告書では開発費又は外注費に振り替えてしまっているケースが見受けられます。おそらく、業者にホームページ作成の見積書を作ってもらった際に、その詳細内容に開発とか受託とかそのような言葉が書かれているので、振り替えてしまっていると思います。

ホームページ作成に関わる費用(プログラミング、写真撮影、動画撮影など)をひっくるめてウェブサイト関連費となりますので他の経費に振り替えてしまわないようご注意ください。

クレジットカード支払時の支払日

クレジットカードの場合、支払い日に注意してください。クレジットカードで支払った日では無く、銀行口座からクレジットカード会社に引き落とされた日が支払日となります。

補助金事業には期限日が設定されており、その日以降の支払は対象外となりますが、クレジットカードの支払日のルールを知らずに期限日以降になってしまっているケースが見受けられます。期限日以降の支払日となった分は補助金の対象外となります。銀行振り込みなら補助金もらえたのにと嘆いても後の祭りになってしまいますので、十分にご注意ください。

99.9%の企業は実績報告書で何かしらミスをしています。ミスをするとその確認で1ヶ月くらいは支払いが遅れます。場合によっては補助金の対象外と判断されてしまうかもしれません。

冒頭の繰り返しですが、小規模事業者持続化補助金を受け取るためには、申請・計画管理・実績報告書をきちんと行うことが必要です。自社だけでは難しいと感じたら、交付後のこともしっかりと考えてくれる専門家に頼んでみるのもいいでしょう。

弊社は補助金申請のための経営計画作成及び申請サポートも行っておりますので、 小規模事業者持続化補助金をご検討の方は、 ぜひご相談してください。

投稿者プロフィール

中小企業診断士/ITコーディネータ事務所オフィスキシガミ 岸上智広
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