中小企業の支援策に必要となる事業計画書の種類まとめ

事業計画書の種類まとめ

中小企業の支援策に必要となる事業計画書の種類まとめ

事業計画書とは

事業計画書とは、事業の概要目的目標戦略市場調査財務計画リスク分析マーケティングプラン等、事業を行う上で必要となる情報をまとめ、今後の事業の進め方を記した書類です。

新しく事業を始めるときや、既存事業の拡大や改善を行うときに作成します。

事業計画書を作成することで、事業の現状や将来の見通しを明確にすることができます。経営陣や従業員での情報共有だけで無く、金融機関等の外部関係者とのコミュニケーションにも役に立ちます。

事業計画書の種類まとめ

※どれも根本は同じなので、種類という言葉が当てはまらないかもしれませんが、目的に合わせた名前が付いています。

事業計画書には、経営に自ら使用するものの他に、補助金など各種支援策を使う際に作成を義務づけられるものがあります。

経営に自ら使用する事業計画書

事業の拡大や改善を行う際に作成するものは、通常、事業計画書と呼ばれています。一から会社を起こすときに作成するものは創業計画書と呼ばれます。

経営陣や従業員での情報共有や、金融機関等の外部関係者とコミュニケーションに使われます。

支援策用の事業計画書

補助金など各種支援策で作成する事業計画書は、その使用目的により名称や内容が変わります。

No事業計画書の名称支援策URLサポート
1事業計画書(そのままです)事業再構築補助金事業再構築補助金
2事業計画書(そのままです)ものづくり補助金ものづくり補助事業公式ホームページ
3経営計画書および補助事業計画書小規模事業者持続化補助金小規模事業者持続化補助金(一般型)
4経営改善計画経営改善計画策定支援事業中小企業庁:経営改善計画策定支援
5早期経営改善計画早期経営改善計画策定支援事業中小企業庁:早期経営改善計画策定支援
6経営力向上計画中小企業等経営強化法による支援中小企業庁:経営サポート「経営強化法による支援」
7先端設備等導入計画先端設備等導入制度による支援中小企業庁:経営サポート「先端設備等導入制度による支援」
8事業適応計画産業競争力強化法事業適応計画(産業競争力強化法)
9事業継続力強化計画事業継続力強化計画認定制度中小企業庁:事業継続力強化計画
10経営革新計画中小企業等経営強化法による支援中小企業庁:経営サポート「経営革新支援」

※弊社が支援している事業計画書について、表の右側の「サポート」項目に○を付けています。

補助金用の事業計画書

補助金の申請をするときに作成する事業計画書です。事業計画書の内容により採択されるかどうかが決まります。補助金ごとに記載する内容が決まっており、その詳細は公募要領に記載されています。

1.事業計画書(事業再構築補助金)

事業再構築補助金とは、新型コロナウイルス感染症の影響や物価高の影響等で、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい状況に陥っている中小企業者等に対して、業績を回復させるために新事業への挑戦を金銭的に支援する制度です。

事業計画書には、既存事業の現状(どんなに苦しい状況か等)、新事業の詳細(どんなに素晴らしい事業なのか等)、収益計画(どれぐらい収益があるか等)を記載する必要があります。

2.事業計画書(ものづくり補助金)

ものづくり補助金とは、中小企業等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い、生産性を向上させるための設備投資等を金銭的に支援する制度です。

事業計画書には、新しい取組の技術面(どんなに素晴らしい技術か等)、取組の効果(どんな良いことがあるのか等)、収益計画(どれぐらい収益があるか等)、そして賃上げ計画を記載する必要があります。

3.経営計画書および補助事業計画書(小規模事業者持続化補助金)

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上の取組を金銭的に支援する制度です。

経営計画書および補助事業計画書には、事業の現状(どんな事業を行っているか等)、販路開拓や生産性向上の取組(どんなことをして販路開拓や生産性向上を行うのか等)、取組の効果(どんな良いことがあるのか等)を記載する必要があります。

中小企業活性化協議会の支援策

中小企業活性化協議会とは、全国の商工会議所等が運営する公的機関であり、金融機関、民間専門家、各種支援機関と連携し、「地域全体での収益力改善、経営改善、事業再生、再チャレンジの最大化」を支援しています。

4.経営改善計画(経営改善計画策定支援事業)

経営改善計画策定支援事業とは、金融支援を伴う本格的な経営改善の取組が必要な中小企業等を対象として、認定経営革新等支援機関が経営改善計画の策定を支援し経営改善の取組みを促すものです。認定経営革新等支援機関に対し負担する経営改善計画策定支援に必要となる費用の2/3を中小企業活性化協議会が負担します。

経営改善計画には、事業の現状の詳細(どんな状況で何が窮境原因になっておるか等)、課題の解決施策(どんな取組を行うのか等)、詳細な収益計画(いつどれくらい収益を出せるか等)、返済計画(どのようにして借入金を返済するのか等)を記載する必要があります。

5.早期経営改善計画(早期経営改善計画策定支援事業)

早期経営改善計画策定支援事業とは、資金繰りの管理や自社の経営状況の把握等の基本的な経営改善に取り組む中小企業者等を対象として、認定経営革新等支援機関が早期経営改善計画の策定を支援し経営改善の取組みを促すものです。認定経営革新等支援機関に対し負担する早期経営改善計画策定支援に必要となる費用の2/3を中小企業活性化協議会が負担します。

早期経営改善計画策定には、事業の現状(どんな状況なのか等、ビジネスモデル俯瞰図で示す)、課題の解決施策(どんな取組を行うのか等)、資金繰り計画(どのように金が出入りしていくのか等)を記載する必要があります。

各種法による支援

6.経営力向上計画(中小企業等経営強化法による支援)

中小企業等経営強化法による支援の1つである経営力向上計画とは、中小企業等が経営力向上計画を事業所管大臣に申請して、認定されることにより中小企業経営強化税制(即時償却等や各種金融支援が受けられる制度です。

経営力向上計画には、事業の現状(どんな事業を行っているか、どのような課題あるか等)、経営力向上の目標及び指標(労働生産性の伸び率等)、具体的な取組(どんな取組を行うのか、いつ行うのか等)を記載する必要があります。

7.先端設備等導入計画(先端設備等導入制度による支援)

先端設備等導入制度による支援とは、中小企業等が生産性の向上に向けた取組を促進するため、市区町村の先端設備等導入計画の認定を受けることで設備投資の支援が受けられる制度です。

先端設備等導入計画には、事業の現状(どんな事業を行っているか、どのような課題あるか等)、先端設備等導入する事業の内容(どんな事業を行うのか等)、生産性向上の目標値を記載する必要があります。

8.事業適応計画(産業競争力強化法)

産業競争力強化法(令和3年改正)は、グリーン社会への転換、デジタル化への対応、新たな日常に向けた事業再構築等を促進するため、カーボンニュートラル実現、デジタル技術を活用した全社レベルのビジネスモデルの変革及び新たな日常に向けた事業再構築を促進するための措置、バーチャルオンリー株主総会実現のための措置、ベンチャー企業の成長支援のための措置、事業再編の推進のための措置、事業再生の円滑化のための措置等の支援を受けられる制度です。

事業適応計画は、産業競争力強化法の支援策の1つであり、計画が認定されることにより、①繰越欠損金の控除上限の特例、②DX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制、③カーボンニュートラルに向けた投資促進税制等の支援措置を活用できる制度です。

事業適応計画には、取組む事業の目標、財務内容の健全性向上の目標、取組む事業の具体的な内容、設備投資の内容及び時期等を記載する必要があります。

9.事業継続力強化計画(産業競争力強化法)

事業継続力強化計画認定制度は、中小企業等が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業大臣に申請して認定されると、税制措置や金融支援、補助金の加点等の支援策が受けられる制度です。

事業継続力強化計画には、事業継続力強化の目標、事業継続力強化の内容、実施期間等を記載する必要があります。

10.経営革新計画(中小企業等経営強化法による支援)

中小企業等経営強化法による支援の1つである経営革新計画とは、中小企業等が新事業活動を行うことによりその経営の相当程度の向上を図る計画を作成し、都道府県の承認を受けることで多様な支援策を受けられる制度です。

経営革新計画には、新しい取組の内容、実施計画、経営計画(収益計画)等を記載する必要があります。

事業計画書の作成にサポートが必要なら

各種支援策を受けるための事業計画書は、事業者自ら策定する必要がありますが、支援機関による支援が認められています

弊社は、事業計画書作成のプロフェッショナルである中小企業診断士であり、認定経営革新等支援機関でもあります。事業計画書の作成支援が必要であれば弊社にお任せください

投稿者プロフィール

中小企業診断士/ITコーディネータ事務所オフィスキシガミ 岸上智広
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